BMW320i Coupe (2007/11/17)


フロントのキドニーグリルは当然ながら、それ以外のラインを見ても、これぞBMWというデザインは日本車では
望めないものがあるのも事実。そして、3リーズセダンに対しても、スタイル面では大きく引き離している。
性能云々など、どうでもよいと思うほどのカッコ良さが何よりの魅力だ。

前回試乗したスカイラインクーペの乗り味は、成る程BMWに迫るものがあった。しかも、動力性能が同等の335iクーペと比べれば、なんと価格的には300万円も安いという抜群のコストパフォーマンスだった。しかし、スカイラインクーペの内装、特に毎日触れるシートやメーターなどの感覚は、もうチョッと何とかならないだろうかとも思ってしまった。そこで今回は、動力性能ではスカイラインクーペの敵ではないが、価格的には同じクラスであるBMW320iクーペを取り上げてみよう。国産車原理主義者に言わせれば、同じ値段といっても性能的に話にならない320iなんてボッタクリもいいところで、これを買うユーザーの気が知れない。こんな値段で買う奴がいるから、何時まで経っても輸入車の値段が適正価格に下がらない、というのだろが。 しかし、本当に欧州車はボッタクリなのだろうか?確かにBMW3シリーズなどを米国価格を円換算してみれば、米国での3シリーズの価格の安さには驚くものがある。しかし、米国のドルの実質価値は110円程度ではな く、もっと高いという事は周知の事実だし、クルマ自体が米国向け仕様は日・欧とかなり仕様が異なるので直接比較も難しい。さらに、BMW3シリーズなんてドイツでは大衆車だという説も検証してみたい。そこで、生産国であるドイツでのクルアの価格を調べてみたのが下の表1である。

  1 ドイツ国内販売価格

1EURO=

160YEN  
  車名 エンジン仕様 ドイツ国内価格 日本国内
販売価格
  EURO 円換算
Ford Forcus 1.6  S4 1.6L 100ps 16,750 2,680,000 2,200,000
Opel Astra 1.6 S4 1.6L 115ps 18,325 2,932,000  
Mazda 3 (AxelaSprot) 1.6 S4 1.6L 105ps 18,790 3,006,400  
VW Golf E S4 1.6L 102ps 21,375 3,420,000 2,420,000
BMW 116i S4 1.6L 122ps 22,100 3,536,000 2,950,000
Mazda 3 (AxelaSprot) 2.0 S4 2.0L 150ps 20,490 3,278,400 1,890,000
Ford Forcus 2.0 S4 2.0L 145ps 22,425 3,588,000 2,700,000
VW Golf TSI S4 1.4L 170ps Komp. 24,031 3,844,960 3,050,000
BMW 120i S4 2.0L 170ps 25,400 4,064,000 3,530,000
Volvo S40 2.0 S4 2.0L 145ps 26,120 4,179,200  
VW Golf R32 (3Dr) V6 3.2L 250ps 34,250 5,480,000 4,230,000
BMW 130i S6 3.0L 265ps 34,250 5,480,000 4,910,000
Toyota Avensis S4 1.8L 129ps 19,880 3,180,000  
Ford Mondeo 2.0 S4 2.0L 145ps 25,925 4,148,000 2,950,000
Mazda 6 (Atenza) 2.0 S4 2.0L 147ps 26,200 4,192,000 2,142,000
Mazda 6 (Atenza) 2.3 S4 2.3L 166ps 28,000 4,480,000 2,457,000
VW Passat 2.0 S4 2.0L 150ps 29,825 4,772,000 3,220,000
MB C200 S4 1.8L 156ps Komp. 32,106 5,136,960 4,500,000
BMW320i S4 2.0L 173ps 32,150 5,144,000 4,110,000
Lexus IS250 V6 2.5L 208ps 32,450 5,192,000 3,900,000
MB C250 V6 2.5L 204ps 34,450 5,512,000 5,580,000
BMW325i S6 2.5L 218ps 36,500 5,840,000 5,350,000
VW Passat 3.2 V6 3.2L 250ps 36,475 5,836,000 4,430,000
MB C300 V6 3.0L 231ps 40,930 6,548,800 6,640,000
BMW 320i Coupe S4 2.0L 170ps 32,800 5,248,000 4,380,000
MB CLK200 S4 1.8L 163ps Komp. 37,468 5,994,880 5,775,000
BMW 330i Coupe S6 3.0L 272ps 40,100 6,416,000  
MB CLK350 V6 3.5L 272ps 49,504 7,920,640 8,070,000
NISSAN 350Z V6 3.5L 301ps 37,890 6,062,400 3,371,000
Porsche Cayman F6 2.7L 245ps 48,879 7,820,640 6,330,000
BMW M3 V8 4.0L 420ps 66,650 10,664,000 9,960,000
Porsche Carrera F6 3.6L 325ps 87,435 13,989,600 11,150,000
Porsche GT3RS F6 3.6L 381ps 120,778 19,324,480 19,180,000
Porsche GT2 F6 3.6L 483ps 184,674 29,547,840 26,000,000

先ずはボッタクリ説についてだが、最近のユーロ高により今現在1ユーロは165円程度で推移している。したがって表をみて判るのは、そのまま円換算したらば、今や日本国内価格は生産国であるドイツよりも大幅に安い車種が目白押しだったりする。その中でも、買い得感抜群なのがVWで、特にGolfの1.6ℓの 日本国内価格はダンピングと言えそうだ。BMW各車を良く見ると、こちらもドイツ価格に対して一律ではないようで、勿論仕様や装備品の違いもあるが、日本での競争が無いもの、例えばM3はユーロ換算と同価格なのに対して、320iセダンは明らかに戦略的な日本価格を設定しているようだ。何しろドイツで 320iセダンと同価格帯のレクサスIS250が、日本でも同価格なのだから、IS250の国内価格はやはり”御もてなし料”が相当に含まれていることは間違いない。
安いといえばポルシェ各車の日本国内価格は戦略的だ。例えばドイツではBMW M3よりも2万ユーロ(320万円)も高いカレラは、日本では120万円程度の差でしかない。ただし、実際の購入金額となると、値引率の違いで結構ドイツ価格と同じ割合だったりするかもしれない が・・・・・。
今回の試乗記の発端は、前回乗ったスカイラインクーペの出来が良かったことから、国内価格の近い輸入車のクーペと比較することだったが、それではドイツでのスカイラインクーペの状況はといえば・・・・無い!売っていない。と、いうよりもインフィニティブランド自体がドイツでは展開されていないようだ。確かに、MBやBMWの本拠地にスカイラインを引っさげて勝負するのは、あまりにも無謀ということか。

次に、3シリーズなんてドイツでは大衆車だという意見について検証してみるが、その前に、ドイツでの学歴と所得格差というのは日本よりも大きく、この辺の事情も考慮する必要がある。次に述べる内容は十数年前に聞いたことなので、今現在の状況は多少異なるかもしれないが、 先ずはこの話から。
ドイツの教育制度は戦前の日本に似ていて、小学校を卒業する時点でエリート校と一般校に分かれることになる。エリート校は日本で言う中高一貫校的だが、むしろ戦前の中等学校&高等女学校に近いようだ。さらにエリートは日本的には大学院大学というのだろうか、総合大学というところに入学する。この総合大学の出身者は国や大企業を動かす人材になる。そして、専門単科大学というのが日本の一般大学のようなもので、実際の実務を行う専門職となるそうだ。多くの庶民は小学校を卒業すると職業訓練校的な学校で、卒業後は現業につくのだそうだ。勿論、現業の場合も努力 と才能で高度な技能を持つ事により、十分な待遇を受けられるのだろうが、少なくとも今時、学歴で全くコースが異なることは、現代の日本人には 理解できい点でもある。そして、一般にドイツ人の名刺には学位が書いてあるから、同じエンジニアといっても、その名刺を見れば、この人は大学院大学出のエリートとか、単科大学出の専門職とかが判る。 日本でも博士ならば名刺に書く事もあるだろうが、大卒(学部)者が名刺に○○学士なんてかいたら、大笑いも良いところだが・・・・・・。

そんな背景を考えながら、BMW320iやMB C200の価格をみれば、どちらも約32,000EURO。これに対して同じDセグメント2.0Lでもフォードモンデオやマツダ6ならば約26,000EUROであり、排気量を1.8Lに落とすとトヨタアヴェンシスの約20,000EUROだから、320iやC200が大衆車ではないことは明らかだ。ただし、ファミリーカーである事は間違いなく、購入層はエリートや専門職など。要するに中流以上のファミリーが買う訳で、その現実を聞きかじって大衆車だと勘違いしていることになる。日本でも、最近は所得の格差が広がってきて、”それなり”の大学を卒業して大企業に正社員として採用されて人並み以上の能力を示せば30代でも幹部職となり、年収は800〜1000万円程度となる。そして、これらの階層が3シリーズやCクラスを買うことにより、これらの輸入車の販売台数が増えてきたと解釈すれば、これらDセグメントのプレミアムブランドの 市場は、今後も延びるであろうことは、十分に推測できる。トヨタがレクサスを国内展開したのだって、そんな読みがあったのではないか。


写真1
先々代のE36クーペ。Dセグメントのクーペという取り回し易くてお洒落で高級なクルマだった。

 


写真2
先代のE46クーペ。セダンがE36から正常進化したのと同様に、クーペもキープコンセプトで若返った。

 


写真3
そして現行E92。クーペというものを実に心得ているとしか言いようのない上手いデザインに脱帽するしかない。


写真4
M3(上)にソックリな320iクーペM-sport(下)のエクステリア。パワー的にはM3のV8、4ℓ
420psに対して320iは直4、2ℓ、156psとマルで比較にならないが、普通の人から見れば
ほとんど区別が付かないのも事実。
このスタイルだけで価値あり、と思うユーザーには320iクーペは一押しでもある。

BMW3シリーズのクーペは先々代のE36から設定された。その前のE30はクーペというよりも、むしろ2ドアセダンと呼ぶべきで、3シリーズとなってからのお洒落なクーペはE36からとなる。そして、3シリーズクーペはキープコンセプトで近代化されていった。3シリーズクーペとい えば忘れてはならないのがM3の存在だ。基本的のボディを共用した高性能車は、フラッグシップとしてシリーズ全体のイメージアップに大いに貢献している。E36時代から、M3のエクステリアにソックリな各種エアロパーツやホイールがオプション設定されていたが、E46からはM-sportというグレードを設定することで、ちょっと見にはM3ソックリのクルマが現実的な値段で手に入るという、実にユーザー心理を掴んだ商売は大成功のようだ。

今回の試乗車は、そのM-sportで価格は 480万円。こうなるとスカイラインクーペの最上級グレードである370GT TypeSP(447.3万円)にナビを付けた場合と同等価格となる。片や4気筒の2ℓでナビなし、それに比べて3.7ℓに 対向ピストンキャリパーなど走りのための高級装備満載で、オマケに純正ナビまでつけて同じ価格。しかし、320iクーペM-sportの外観は写真4のように、あのM3にソックリで、余程BMWに精通していない限りは、チョッと見ただけでは区別がつかない。だから、そのカッコ良さは群を抜いている。もちろん、スカイラインクーペだって十分にカッコ良いが、あのM3ルックと比べると流石に分が悪い。ユーザーによっては、このM3ルックだけで480万円の価値は十分あると感じてもおかしくはない。クーペなんていうクルマは実用性としてはセダンに敵うわけが無いのは当然で、それならば目一杯見かけに振るのが正解というものだ。タイヤが太すぎる?ホイールがでか過ぎる?だからどうした、という乗りは、なるほど納得するものがある。


写真5
BMWの定石どおりに1本の排気管が4気筒であることの証になってしまう。ただし、クーペの場合は楕円形となり、少しは見かけが良くなった。

 


写真6
クーペとしては十分なスペースのトランクを持つ。高さ方向の余裕はスカイラインクーペに比べても勝っている。

 

それでは、ドアを開けた眺めはどうかといえば、試乗車はM-sportのため、座面がクロスでサイドがアルカンターラのスポーツシートが目に入る。 最近では国産車もアルカンターラは流行のようで、ランエボ]なども使用しているが、艶消しの裏革による高級感から、室内全体が独特の質感で満たされている。これに対してスカイラインクーペはニッサン車に共通の、どこか安っぽい質感のレザーが何とく室内全体にイマイチという雰囲気が満ちあふれている。良く見れば決して手抜きなどはしていないし、一生懸命に高級感を出そうと努力をしているのはわかるが、結果がどうもイマひとつで、これは何とかならないのだろうか。

シートに座ってドアを閉めると、何やらウィーンというモーターの音がする。これは何かと思ったら、シートベルトが出てくるレバーの作動音だった。2ドア車の場合、シートベルトがシートの後方にあって取り出しに苦労するが、この辺を流石に良く考えてある。動作の詳細は写真9〜10を参照願おう。ところで、スカイラインクーペの場合は取り出しやすいようにベルトを前方に保持するような機構をついているが、これが後席への出入りの時に邪魔になり(写真10S)、この勝負はBMWの勝ち というところか。


写真7
M-sportパッケージの試乗車はサイドがアルカンターラで座面がクロスのスポーツシートは、独特の雰囲気をかもし出している。

 


写真7S
スカイラインの場合、頑張っているのに何処かセンスの悪い内装は、何とかならないものか。それとも、ドル箱の北米では、これが受けるのだろか?

 


写真8
リアシートのスペースはセダンには敵わないが、二人の大人が何とか乗れるため、ポルシェカレラとは比較にならない程の実用性を持つ。

 


写真8S
スカイラインの後席は3シリーズクーペとほぼ同様のスペースを持つ。センターに樹脂製の低いコンソールを持つところも3シリーズとソックリだった。

 


写真9
ドアを開けて運転席に座った後にドアを閉めると、シートベルトがスーッと出てくるA。

 


写真10
クーペの前席シートベルトは取り出し難いものが多いが、これなら簡単だB。そして、ベルトを装着すると、今度はレバーが後方に格納されるC。

 
      


写真10S
スカイラインクーペの場合は、ベルトを取り出し易いような工夫はされているが、何時も出っ放しのレバーは後席乗車時に邪魔になる。

 

シートに座った感覚は、御なじみのBMWの世界で、3シリーズサルーンと基本的に共通なダッシュボードは、この手のスポーツクーペ(とサルーン)のお手本となっているし、多少艶消し気味のクロームシルバーのトリムも、今では多くの国産車が採用している。

エンジンはインテリジェントキーを所持した状態でブレーキペダルを踏み、スタートボタンを押すことで、始動する。もっとも、この方式は今や国産車でも当たり前になってしまったが、数年前に始めて7シリーズのスタートボタンによる始動方式を見たときには、何とも斬新に感じたものだった。アイドリングは安定して いるし、結構静かなのは今更言うまでもないが、かと言ってマークXのようには静かではない。

試乗車はM-sport なのでシートもパワーシートだから、座面右横(運転席の場合)のスイッチで位置を調整するが、これは今や多くの国産車も採用している方式だから特に驚く事もない、というよりも当たり前というところか。320iクーペの場合、もしもベースグレードを選んだとすれば、438万円も出して手動のシート!ということになる。そして試乗車のスポーツシートの座り心地はといえば、まず最近のBMWの、それも3シリーズに共通した柔らかいが腰のある独特の座り心地で、左右のサポートも意外と緩い。スポーツシートと聞いて、コチコチの座面とガッチガチの左右サポートを期待すると、何じゃコリャと怒ることになるが、このクルマはコーナーをギンギンに攻めるような運転ではなく、その優雅なスタイルを楽しみつつ、走り自体も優雅に流すのが目的のお洒落な大人のクルマだと思えば納得できる。

  
写真11
BMW独特の雰囲気を持つダッシュボード。M5辺りから始まったシルバーのトリムは、今では
国産車の多くも採用している。常にオリジナリティで一歩前進している本物感がオーナーに満足
を与えて、しいては割高と言われても多くのユーザーが憧れる理由でもある。
 


写真12
今回のモデルからはインテリジェントキーはダッシュボードに差し込む必要が無くなった。これで、やっとニッサンマーチ並に進歩した!

 


写真13
エンジンの始動/停止用のボタンは今では国産車でもお馴染みとなっている。

 

MTのシフトノブのような形をしたATセレクターがMTともっとも異なるのは、ノブの前方に解除ボタンがあり、”P”位置から移動させる場合には、ノブを握った手の人差し指から3本くらいが自然にボタンに触れるので、3本の指に少し力を入れれば、極自然にロックを解除できる。言葉で書くと判り難いが、このレバーの使いやすさなど、ちょっとした気配りの積み重ねがBMWオーナーに満足感を与えていることになる。ただし、ATセレクターについては新型スカイラインクーペも先代に比べると格段に良くなっていた。というよりも、BMWにソックリだったが。
走り出した第一印象は、同じ320iでも前回試乗したツーリングに比べると、明らかに軽快な加速をすることだ。車両重量はツーリングが1540kgでクーペが1490kgと、その差は50kg だから、精々大人一人分の差しかない。そこで、エンジン自体を比べて見ると、 前回のツーリングは最高出力 150ps/6200rpm 最大トルク 20.4kg・m/3600rpm、ところが今回のマイナーチェンジで4気筒2ℓエンジンは156ps/6400rpm 、20.4kg・m/3600rpm と多少のパワーアップを実施している。パワーで6psのアップで、最大トルクには変わりが無いが、回転数全域の特性図がないので何ともいえない。更に、ギアリングを調べてみたら、ファイナルは同じだが6ATのギア比は異なっていた。すなわち、クーペの場合は前回試乗したツーリングに比べて1速はハイギアードだが、2〜5速は逆にローギアードとなっている。BMWのATは通常2速から発進するために、今回のクーペのほうが加速感で上回るという面では、体感と一致している。このように、重量、パワー、ギア比などの各要素を地道に見直した結果が、加速感の向上となったと推定できる。こういう堅実な改良がBMW(メルセデスも)の偉いところでもあるが、言い換えれば去年買ったユーザーはどうしてくれると文句も言いたくなりそうだ。
長々と書いてしまったが、前回のツーリングが幾らなんでも遅すぎると感じた加速性能は、今回のクーペでは何とか我慢できる程度には改善されていた。勿論、一生フルスロットルを踏まない(踏めない)ような、穏やかな(あまり上手くない)オーナーからみれば、これで十分でもある。

  
写真14
直4、2.0ℓのN46Bエンジンは156ps/6400rpmの最高出力と20.4kg・m/3600rpmの
最大トルクを発生する。MC前に対して6psのアップとなっている。

BMWのM-sportの特徴でもある太くて多少柔らかいステアリングホイールのセンターには、例のプロペラをモチーフにしたBMWマークがある。 この雰囲気の中で毎日運転することは、自分がBMWオーナーになったという充実感に浸れるから多くの人が、割高だろうが、エンジンパワーが低かろうが、そんなことはどうでもいいと思 うのも当然だ。そこが3シリーズが輸入車の中でも売り上げでVWゴルフに次いでいる理由でもある。いや、世界的にも3シリーズが強い理由も、小型プレミアムカーという独特の思想とポジジョンにある のは言うまでも無い。
そして、その操舵性はといえば、多少重めで、中心付近からクイックではあるが、わざと微妙な不感帯を持たせて、一般のドライバーにも安全に運転でき、しかもマニアなら思い通りのラインを描けるという、間違いなくBMWの世界が展開される。操舵性という意味ではスカイラインクーペも、320iクーペに勝るとも劣らないが、その折角のフィーリングを、チラッとメーターを見た瞬間にシラケてしまうのも、また事実でもある。前回ツーリングの試乗では、M-sportが装着する分不相応に巨大なタイヤが裏目に出て、ドリフト族撃退用(?)のゼブラではズッ、ズッと横にずれるという挙動を見せたが、今回同じ場所を走ってみると、ツーリングよりは安定した挙動を見せてくれた。重心から遠いリアエンドに重いラッゲージルームを持つツーリングに比べれば、Z軸(車両の回転方向)のモーメントが小さいクーペの有利さもあるのだろう。BMWのツーリングは、乗り味がセダンに近いと言われているが、ある程度コーナーを攻めるような乗り方をすると、やはり違いが出てしまうようだ。

そして乗り心地はといえば、フロント225/40R18、リアに255/35R18 というスーパーカー真っ青の扁平タイヤを装着していることを考えれば、十分にしなやかで不快感も無い。とは言っても、 現行のBMW各車はランフラットタイヤ(RFT)を装着していることもあり、気をつけて聞いていると路面の細かいザラツキまでが伝わってくる。ただし、スカイラインクーペにしても基本的には硬い乗り味だから、スポーティーなクーペに相応しいと考えれば大きな不満は無い筈だし、乗り心地に関してはBMWもスカイラインも言い勝負といえよう。


写真15
オーナーとなって毎日眺める光景が、左のBMWと右のスカイラインのどちらが良いかは好みの問題。とはいえ、ステアリングホイール中央のBMWマークを視線に入れて、精密そうな質感のメーターを眺めるBMWに慣れると、スカイラインはチョッと・・・・。


写真16
今更何も補足する必要がないBMWのメーター。
 

 


写真17
これも御なじみのBMWのATセレクター。一見MTのシフトレバー風のセレクターは数年前に登場した時には感心したものだが、今では多くの国産車も採用している。

 


写真18
これも3シリーズオーナーなら御なじみのオーディオとエアコンのパネル。夜になって明かりが灯ると、実に高級で都会的に輝く。こんなところが、スカイラインが敵わない点でもある。

 


写真19
ライトスイッチはステアリングコラム右側パネルにある。国産車がウィンカーレバーに組み込むのとは対照的だ。

 


写真20
試乗車はM−sportパッケージなので、シート座面と同質のクロスが貼られた内装を持つ。

 

    

 

BMWのブレーキについては今更いうまでもないくらいに語られてきたし、この320iクーペも軽く確実なブレーキイフィーリングは、人によっては効きすぎとも感じるくらいに良く効く。ただし、この面では国産車も最近進歩が著しく、スカイラインクーペのブレーキフィーリングもBMWに負けないものだった。実は試乗したスカイラインクーペはコンフォートモデルのために鋳物のハウジングを持つ1ピストンのピンスライドタイプという、極一般的なものだったが、パッドの形を良く見ればハンマーヘッドと