Lexus UX 250h (2019/2) 前編 その2

  

次に室内を比べる事にする。先ずは何時ものようにドアを開けて目の前のインテリアを見れば‥‥まあ今回の2車はシートカラーがマルで違うので一見して雰囲気が異なるのだが、それはそれとしても写真では良く判らないが、現物はやはり質感が異なっている (写真21)。特にシートは大きく異なり、写真の UX がバージョンLである事から本革シートが奢られているのが大きな原因だが、実は C-HR も上級モデルのGである為に本皮/ファブリックのコンビ、すなわちサイドは本革なのだ (写真22) 。しかしその質感は大いに異なり、UX のよくなめした柔らかそうな質感に対して、C-HR はゴワゴワ硬そうでツルツル滑りそうで、これならファブリックの方が良いんじゃねぇ、何て事になる。しかも UX ではセンターの表皮には細かい通気穴が模様を描いているという凝りようだ。トヨタブランド車の本革は、同じ会社なのにレクサスブランドと大いに異なり、10年物のクラウンアスリートの本革仕様何てアチコチひび割れが出て、見るも無残な状況になっているのを見た事がある。

シートのポジション調整は UX の場合は当然ならがフルパワーで、その調整はシートベースの側面にシートの形をしたスイッチという高級車では極々当たり前の方式を採用している。これに比べると C-HR は上級モデルとはいえ手動式で、電動はオプションにすら無いのはヒエラルキーをシッカリと維持しているのだろう。加えてスカッフプレートなる何の役にも立たないがブランド好きの心を擽るモノも、UX では高級メッキに ”LEXUS” の文字が浮き出している立派なモノが付いているが、C-HR にはプレート自体が存在しない (写真23) 。

写真21
写真では良く判らないが現物はやはり質感が異なっている。


写真22
UX がバージョンLであることから本革シートが、実はC-HR も上級モデルのGである為に本皮/ファブリックのコンビ。
しかし本革といっても質感は大きく異なる。


写真23
UX のシートのポジション調整は当然ならがフルパワー。C-HRは手動とここでも差を付けている。

ではドアのインナートリムは如何だろうか? 既に日記の写真紹介で述べたように、UX のトリムは決して褒められたモノでは無く全体的にプラスチッキーに感じるが、それより下位の C-HR は当然それ以下であろうと推定したが、UX と比べるとそれ程の差は感じられなかった (写真24) 。まあそれでもドアノブは UX の半艶クロームに対して C-HR では普通の光沢クロームだし、UX のアームレストはレザーパッドにステッチ入り (写真25) だが、C-HR は弾性樹脂の一体成型という差が付いている。とは言え、何しろ面積の多くを占める一体成型の部分が似たような質感というのが痛い。

いやそれどころか、C-HR ではアームレスト周辺の結構広い範囲にファブリックを使用しているから、見方によっては寧ろ UX に勝っているとさえ感じるくらいだ。


写真24
ドアトリムは C-HR でもそれ程の差は感じられない。


写真25
UXは半艶クロームのドアノブや 、レザーパッドにステッチ入りアームレストなど、良く見えば差は付けている。

ダッシュボードは最も目に付く部分だから、ドアトリムに手を抜いて余った予算は全てこちらに投入するであろう事は容易に推測出来る。それで実際に UX を見れば、これはもう写真でもハッキリ判るドイツプラミアムブランド風で、センタークラスターはこれでもかとドライバー側に向いている。対する CH-R はトヨタブランドの庶民向け丸出しというか、カローラに共通する雰囲気で纏められている (写真26) 。

そしてセンタークラスターを見比べれば、UX ではトップにこれまた BMW 風の横長ディスプレイを配して、その下には極力高さ方向を抑えたエアコンの操作ユニットを置くのも BMW 風だ。これに比べれば C-HR は標準では2DIN サイズのブランクパネルと小物入れ、要するにGとは言えどオーディーオレスが標準となり、これにディーラーオプション、というかぶっちゃけ市販品そのものを後付けする (写真27) 。そしてエアコンのパネルも UX に比べては明らかにチャチい。考えて見れば UX は大衆ブランドのCセグメント SUV だから、同じくCセグメントであるカローラ的であっても全く不思議は無いのだった。

最近のクルマは中級以上ならセンターコンソールの後端にリア用のエアアウトレットが装備されている。それで当然ながら UX にはあるが、さて CH-R はというと‥‥無いっ! まあ UX との差別化であろうが、ベースグレードでも2百数十万円するのだから、ここはチョイと張り込んでも良かったのでは無いだろうか (写真28) 。

写真26
UX はドイツプラミアムブランド風で、対するCH-R はカローラに共通する雰囲気で纏められている。



写真27
UXのセンタークラスターはトップに BMW 風の横長ディスプレイを配して、その下には極力高さ方向を抑えたエアコンの操作ユニットを置き、これまた BMW 風だ。
C-HR は標準では2DIN サイズのブランクパネルと小物入れという "安物路線" となっている。


写真28
コンソールの後端は UX では定番のリア用エアアウトレットが組み込まれているが、C-HR には無いっ!

と言う事で、今回の比較では一見するとマルで違う両車が実は兄弟であると言う事が判った事は収穫だった。ではユーザーはこの辺を如何考えるのだろうか? いや勿論 C-HR のユーザーの多くはそんな事は全く判らないだろうが、その点をトヨタディーラーで確かめてみたいものだ。もしも自分がトヨタのディーマンだったら

トヨタの客(以下ト客):C-HR って中身はレクサス UX と同じなんだって?
トヨタ営業マン(以下ト営):いやぁ、お客さん、良くご存じですねぇ。流石ですよ。
ト客:いや、まあそれ程でも無いけど、カー○○に書いてあったんでね。
ト営:大きな声じゃあ言えないっすけど、この CH-R と大して変わらないクルマに500万円以上も出す何てねぇ。まあ見栄を張るためのコストと考えれば良いかもしれないっすけど。

てな訳でお客さんは自分の買い物上手に越に入りながら契約書にサインをするのだった。

ではレクサスではというと

レクサスの客 (以下レ客):主人の部下が言っていたそうなのですが、UX はトヨタの C-HR と共通って本当ですの?
レクサス営業マン(以下レ営):そんな噂も出ているようですが、そんな訳はございません。
確かに基本となるシャーシー等は共通しておりますが、材質や補強、製造工程など全く違うものですし、奥様のようなセレブな方は C-HR ではご満足いただけないかと存じます。
レ客:まあ、やっぱりそうでしたの。良い物を見極める事の出来ない貧乏人は嫌ですわねぇ。

てな訳でこちらも目出度く UX 250h バージョンLをお買い上げ。勿論定価で。

まあそうは言っても肝心な走りで大いに差があればレクサスの名誉は保たれるのだが、これについては後編にて。

⇒後編へ