Porsche 992 Carrera 4S (2019/7) 前編 その2

  

インテリアを見ようとドアノブを見た時に気付くのは、最近のポルシェはゴッついグリップ式だった筈だが、今回はフラット式になっている事だ。それで下から手を入れて引くとドアが開いたが、ノブは引いて出た状態のままだ (写真11) 。これはドアを閉めれば元に戻るのだが、開いている状態では出っぱったままとなる。ただしドアノブのストロークは可也短いから、開けた時に出っ張っているといっても極僅かだ。

ドアを開けて見えるフロントインテリアは、一見して新型車に独特の部分は見当たらない (写真12) 。そしてリアも殆ど変わりは無く、相変わらず狭いしシート形状も平らで、フロントの如何にもサポートの良さそうなスポーツシートとは雲泥の差だ (写真13) 。そうは言っても 991 からホイールベースが100o 伸びた事で、997 よりはリアの居住性は随分向上した事も事実だ。

シートについてはインテリアトリムと共に各種のオプションが存在し、詳細はポルシェの HP からカーコンフィギュレーターで調べてもらう事になるが、写真のクルマは新旧ともオプションのレザーシートが装着されていて、デザインはこれまた僅かに異なるが材質的にも殆ど同じものだ (写真14) 。なお標準シートは約 1,700万円も出してパーシャルレザーとなが、そんな仕様は実際には本国発注の取り寄せとなるだろう。パーシャルレザーは注文で、見込み輸入の在庫車はオプション付きというのがポルシェ流だ。

写真11
992のドアノブはフラット式で、これを引いてドアを開けるとノブは引いた状態のままとなる。

991は997から続くグリップ式だった。

写真12
フロントインテリアは、一見して新型車に独特の部分は見当たらない。

写真13
リアも殆ど変わりは無く、相変わらず狭いしシート形状も平らだ。


写真14
写真のクルマは新旧ともオプションのレザーシートで、デザインはこれまた僅かに異なるが材質的にも殆ど同じものだ。

ドアのインナートリムは一見したところ何故か 992 の方が安っぽく見える。その原因を考えると、プラスチッキーな質感の面積が結構多い事だろうか (写真15) 。デザインは全く異なっていて、長年使われてきたドアノブの形状も全く違う形状に変更された。また光モノが減った事も華が無くなったと感じる原因になっている。

とはいえ、パワーウィンドウスイッチ付近を比較すると、992 だってアームレストはステッチの入ったレザーが使われているのだが‥‥。

写真15
ドアのインナートリムは一見したところ何故か 992 の方が安っぽく見える。


写真16
拡大して見れば992もステッチの入ったレザーを使用しているのだが‥‥。

ダッシュボードとセンターコンソールは既に新型カイエンでお馴染みのタイプとなり、991 の大きな特徴だったセンタークラスターの高い位置から大きな傾斜で繋がるコンソールとはマルで異なっている。ところがこれを側面から見ると、何とコンソールの傾斜は新旧とも変わらないのだった (写真18)。にも関わらず 992 のコンソール先端の位置が低く見えるのはセンタークラスタのデザインが全く変わって、最下端にエアアウトレットが配置された事で、何やらセンタークラスターの下端が低くなったように錯覚しての事だったようだ。

えっ、そんな錯覚を起してるのはお前だけだ。俺は最初から判っていたぞ、って?

さて、そのセンタークラスタを比べてみると、ディスプレイが劇的に大きくなっている (写真19)。991 の 前期型 (Ph1) までは日本向けにクラリオンの市販品をポン付けして新車装着品としていたのがウソのようだ。なお、この写真ではディスプレイの下端にある水平トリムがオプションのウッドとなっているが、911 にウッドは如何考えても似合わない。

写真17
ダッシュボードとセンターコンソールは既に新型カイエンでお馴染みのタイプとなり、991とは世代の違いを感じる。



写真18
よく見るとセンターコンソールの傾斜は変わらない。


写真19
992のディスプレイは圧倒的に大きくなっている。

これまで見てきた限りではエクステリアはキープコンセプトで、インテリアはというと何やら少し安っぽくなったようにも感じる。まあ決して素材に手を抜いている訳でもないのだが、如何見ても千数百万円を軽く超えるクルマには見えない。まあ、ポルシェ、それも 911 といえば本来は走りが命であり、内装何て気にするなというのが本来の姿だったが、今の 911 は以前とはユーザー層が異なっている事もあり、さてこの内装に対する 911 ユーザーの評価は如何に?

その肝心な走りについては後編にて。

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