Volvo XC60 試乗記特別編
  [Volvo XC60 vs BMW X3 後編 その2]




特別編へようこそ。
前編でも御注意申し上げたように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

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次に正面のメーターを比較してみる。

XC60 のメーターパネルは最新のカラー液晶ディスプレイを使用したもので、要するにメーター類は CG だから、モードによってメーターの外径が変わったりするし、勿論表示も変わる。

それでは BMW はというとこれまた最新の X3 (G01) ではカラー液晶ディスプレイを使用しているから、モードによってメータパネルのデザインや指針の長さが変化する。そしてこの液晶表示の場合メーターの外枠 (リング) が実にリアルに表示される‥‥と、思ってよくよく見たらば実はリングのみが本物 (ハードウェア) だった。成る程、完全に一枚のディスプレーにしてしまう程には割り切れ無かったのだろうか?

これに比べれば一世代前の X4 は完全なメカによるメーター (ただし回転計内下部は一部カラー液晶) を備えているが、一見すると新型の同じような表示とそっくりだ。いや厳密には X3 のモードには X4 というか、旧 X3 と同じデザインのものがある、というべきだろうか。

走るについては XC60 も充分な戦闘力を持っているのが判ったが、さて曲がるの方はどうだろうか? なおこの項目では X3 は新型の xDrive 20d を XC60 の比較相手とする。ディーゼルエンジンの X3 はガソリンエンジンの 20i よりも多少車両重量が重く、恐らく操舵性も多少は異なるだろうが、まあそれを言ったらば同じエンジンでもイヤーモデルが変わると操舵特性も多少変わる事もあり、ここは細かい事抜きで比較する事にしよう。

XC60 の操舵力は極々軽く、それでも速度が上がれば多少は重くはなるがやはり軽いからステアリングレスポンスは結構良く感じ、セダンに比べて条件の悪い SUV としては充分にクイックだし車両の動きも結構良い。次にスポーツモードを選ぶと多少操舵力は増すが、それでも軽い事に変わりは無く、ドッシリとしたフィーリングにはならないが決して悪くは無い。では X3 はというと XC60 程軽くは無いし、BMW のポリシーとして中心付近は多少の不感帯を設けているから第一印象では XC60 の方が多少ともクイックに感じるくらいだが、BMW としてはステアリングレスポンスは良い部類に入る。

それでは XC60 のコーナーリングはというとアンダーステアも少なく、また大きくロールするような事も無くグリップも安定しているから、ボルボというイメージからすれば想像以上にスポーティーに感じる。X3 は流石に BMW ブランドだけの事はあり SUV としては充分なコーナーリング性能を見せてくれる。まあ元来旋回性能何て求めるのが間違っているというくらいの SUV の世界で、マトモにコーナーを走れる X5 で世の中をアッと驚かせた BMW だから、未だ SUV としてはトップを走っていると言っても良いだろう。と、考えるとX3 と比較してもそれ程劣るとは思えない XC60 だって立派なモノだが、シビアに見るとヤッパリ X3 に多少アドバンテージがあるようにも感じるが、あくまでも "感じる" 程度だ。

遅ればせながら各車のエンジンルーム内を比較して見ると、まず XC60 はベースの V60 と同様に FWD ベースの為にエンジンは横置きとなっている。その為にエンジンの搭載位置は車両右側に寄っていて、左側にはミッション等が配置されている。

搭載位置と言う面では X3 および X4 は BMW らしく後方に配置されていて、少しでも前後バランスをイーブンにすべく考慮されている。なお BMW の場合、新旧エンジンは外観的にも全く異なっている。

このようにエンジンの搭載位置を見る限りは如何考えてもコーナーリングでは X3 に分がありそうだが、上記のように実際にはそれ程明らかな差は無いところを見ると XC60 の出来の良さが判るというものだ。

なお今回の試乗車に装着されていたタイヤは XC60 が 235/55R19 で X3 は M Sport だった事から 245/50R19 とチョイとオーバースペック気味だが、それでも流石にサルーンの M Sport のように前後サイズ違いという事は無い。とは言え X3 の乗り心地は決して悪くは無く、むしろ XC60 の方が硬いくらいだ。まあ、この辺はダンパーの当りなど条件もあるので何とも言えないが、少なくともどちらも不快感を伴うものでは無い。尤もグニャグニャ・フワフワが高級車だと思っている農家の成金オヤジはどう思うか判らないが。あっ、そういえば最近は固定資産税も高いし、土地の価格は下がっているし、以前に銀行と石油屋に騙されて開業したガソリンスタンドはセルフの時代に追加の設備投資も出来ず結局廃業し、しかも更地に戻すのにタンクを穿り出したり基礎をぶっ壊したりと大変な金が掛ってしまい、今や輸入車を買うどころでは無く、馬鹿息子もその昔に買った車高短セルシオを未だ乗り続けているくらいだ。

最後にブレーキについては特に問題無く良く効くが、ボルボはフォード時代に BMW と同じコンチネンタル製のキャリパーを採用したが、今はどうだかわからない。まあ写真で見ても両車共鋳物の片押しシングルピストンと極普通のモノで、それでも X3 は色からするとシリンダーハウジングはアルミ鋳物のようだ。

さてここまで両車を比べてきたが、予想通りに XC60 も充分に X3 と対抗できる位の出来の良さはあった訳で、X3 のライバルが XC60 であるという BMW ジャパンの社員の言葉が裏付けられたという事になる。特に XC60 のモダーンな内装は X3 に無い魅力でもあり、まあこの辺は各自が実際に試乗して見ての判断だろうが、最後はあくまでも自己判断にて‥‥。