Volvo XC40 T5 (2018/8) 前編 その2

  

次にインテリアを眺めるためにドアを開けると (写真12-1)、先ずは XC40 では R-Design 独特のツートーンの室内が目に付くが、質感、センスともイマイチだ。対する XC60 T5 AWD Inscription のインテリアはハッとするようなモダーンでセンスが良く、質感も高いもので、これってやっぱり140万円の差なのだろうか、兎に角 XC40 のインテリアは第一印象から何だか拍子抜けするような、まあハッキリ言ってイマイチだ。これは XC60 の結果が良かった事からの大いなる期待をし過ぎた事が XC40 の悲劇だが‥‥。

その XC60 の内装はといえばホワイト系の内装いうこともあり明るくモダーンに見えるが、いや色の違いもさる事ながらデザイン自体も洗練されていて、成る程北欧家具で有名なスエーデンの企業の面目飛躍というところだ。と、ここでもう一度写真11-1を見比べみると‥‥ねっ、その違いに愕然とするでしょう。

しかしここで思い付くのは XC40 だってアイボリー系の内装ならもっとボルボらしいのではないか?すなわち R-Design がセンス悪過ぎなのではないかという事で、それはらばとボルボのサイトから Inscription の内装色の例を写真11-2 に並べてみたが、う〜ん、まあ試乗車よりはマシだがやはり XC60 とは根本的にデザインや素材が違うようだった。

そしてシート表皮は XC40 の場合サイドがナッパレザーというが、実際には一見人工皮革に見えるし、センターの Nubuck というバックスキン風人工皮革はコットンスエードの様な触り心地で質感ではアルカンターラには及ばないし、これまたイマイチだ。対する XC60 はシートデザインも同様にモダーン路線で統一されている。シート表皮は本革といってもよりなめした革でセンターには通気孔が開いているが、これが実に良い雰囲気を出しているし、革自体の肌触りも実に良い(写真12)。

シートのポジション調整はシートベース側面にあるシートの形をした調整スイッチという最近のクルマではお馴染みのモノを使用している。スイッチ自体は両車で少し異なるが、この部分では特に差別化していない。というよりも、見えないところだから XC60 らしく金を掛ける事をしていないために XC40 と同レベルとなった、というところだろうか。

写真11-1
XC40 では R-Design 独特のツートーンの室内が質感、センスともイマイチだ。

対するXC60は明るくモダーンで色の違いと共にデザイン自体も洗練されている。


写真11-2
ウェブサイトから持ってきたXC40 Inscription の写真だが、 R-Design よりマシとはいえ XC60には敵わなかった。


写真12
シート表皮はXC40ではサイドがナッパレザーというが一見人工皮革に見えるし、センターの Nubuck というバックスキン風人工皮革はコットンスエードの様な触り心地で質感はイマイチ。
これに対してXC60はよりなめした本革でセンターには通気孔が開いて実に良い雰囲気を出しているし、革自体の肌触りも実に良い。


写真13
シートのポジション調整は両車ともシートベース側面にあるシートの形をした調整スイッチという最近のクルマではお馴染みのモノを使用している。

ドアのインナートリムはこれまた両車のセンスと高級感で大いに差が付いているが、まあこれは今までの部分を見れば容易に想像が付く事だ (写真14) 。そしてアームレストは XC40 が弾性樹脂とはいえ単なる成形品だが、XC60 ではレザーにステッチが入ったものを使用している。ドアノブ前方のスピーカーのメッシュも XC60 のクロム仕上げは良い質感を出している。そして何より印象が悪いのは XC40 のトリムがブラックを基調としてシルバーの細かい長方形の模様を並べたデザインで、好みの問題があるとはいえ見るからにセンスが悪く、北欧テイストとはあまりにもかけ離れているように思うが、いやこれこそ北欧のセンスだ!とでも言うのだろうか? (写真15)


写真14
グレード名では下の筈の Inscription である XC60 の方がレザー仕上げにステッチの入ったアームレストで、 XC40 は R-Design という上級グレードでもチャチい弾性樹脂の一体成型となる。


写真15
XC40の趣味の悪いインテリアトリムなど、もう比べるのが嫌になる。

ダッシュボードについてもこれまで見てきたシートやドアトリムと同様で、XC40 は XC60 と差別化されている。確かに基本デザインは同じなのだが‥‥そしてこれも何度も述べたが XC60 のインテリアのセンスの良さを別としても、インテリアの仕上げ自体や金物の質感などの違いで、如何考えても XC60 の方が大いに勝っていると感じる(写真16)。

そこで今度はセンタークラスターを比較すると(写真17)中央上部のディスプレイは若しかして同じもの‥‥と思えるが、その両端にあるエアアウトレットの大きさやデザインで差を付けていて、勿論 XC60 の方が一見して上級モデルと判断できる。ただしディスプレイの下にあるコントロールパネルは両車ともほぼ共通している。

XC40 のエアアウトレットが妙に縦長で奇妙なデザインであることは、ダッシュボード左右端を比べると良く判る(写真18)。対する XC60 はエアアウトレット自体のデザインも、その周りのトリムとそれを縁取るクロームのラインなど、すべてがモダーンな北欧テイストに満ちている。

写真16
ダッシュボードについても XC40 は XC60 と差別化されている。


写真17
センタークラスター中央上部のディスプレイは同じものと思えるが、その両端にあるエアアウトレットの大きさやデザインで差を付けている。


写真18
ダッシュボード左右端も見ての通りで、やっぱり差が大きい。

今度はルーフを見上げて、センターにあるオーバーヘッドコンソールを比較すると、これは何と同じモノだった(写真19)。この部分は普段は滅多に目に入らない場所であり、こういうところでは XC60 とはいえ無理に金を掛けないなど、上手い手法を使っている。う〜ん、北欧人もやるじゃあないか。ぇっ、トヨタのクルマを研究して覚えた、って?

最後に残るリア用エアウトレットはどちらも定番のフロントコンソール後端にある(写真20)が、XC40 はフロント同様に奇妙なデザインで、対する XC60 はリアシートヒーターの調整パネルも兼ねたもので、例によってデザインもお洒落だ(写真21)。そして極めつけは XC60 のBピラーに組み込んだリア用サイドエアアウトレットで、しかもリアドアのインナーパネルにはフロントと同じデザインのスピーカーまで組込まれていて、リアの住人は XC40 に比べて明らかに快適だろう(写真22)。

写真19
普段目に入らないからだろうか、オーバーヘッドコンソールはほぼ共通となっている。

写真20
どちらもフロントコンソール後端にはエアアウトレットがあるが、この部分でも XC60 のデザインセンスの良さが光っている。


写真21
XC60 ではリア用シートヒーターの調節も出来る。

写真22
XC60 のBピラーに組み込んだリア用エアアウトレットやリアドアに組込まれたリア用スピーカーなど、この部分は大いなる差が付いている。

XC60 との内外装比較、取り分け内装では全面的に敗北という結果になってしまったが、まあそれは冒頭でも述べたように今回の XC40 がグレードとしては XC60 の Inscription よりも上級の  R-Design でも両車の価格差は 140万円に達し、これがもしも XC40 が XC60 と同じ Inscription の場合は 180万円もの価格差だから、要するに XC40 と XC60 の価格差は180万円ということで、それりゃまあ、違って当然ではある。 因みに BMW の場合では、X1 xDrive 20i(458万円)と X3 xDrive 20i(654万円)ではその差は 196万円で‥‥あれっ、BMWの方が価格差は大きかった。それなのに X1 と X3 ってこんなに差があったっけ?

まあ、この辺はBMWの方が長年の経験から商売が上手いのかもしれない。さて、それでは一番肝心のの走りについては‥‥後編にて。

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