BMW X1 sDrive 18i & xDrive 18d (2018/4) 前編 その2

  

ここでエンジンのスペックをもう一度確認すると
 1.5L ターボ B38A15A 140ps/4,600rpm 220N-m/1,480-4,200rpm
 2.0L ディーゼルターボの B47C20A 150ps/4,000rpm 330N-m/1,750-2,750rpm
と数字で書いてもイメージが湧かないだろうから下のように特性図を作ってみた。

ただし上の図ではトルク曲線の最低目盛 (基線) が0では無い。という事は実際以上にトルク差があるように見えてしまう事に注意が必要だ。まあそれはそれとしても圧縮比の高い ディーゼルで、しかも排気量が 33%大きい 18d の方がトルクが大きいのは当然だ。しかし回転数を考慮すれば 18d に比べて 18i の高回転時の特性は圧倒的であり、出力曲線を見ても 18d では最大出力を発生する回転数が狭くピーキーなカーブを描いているが、18i では約 1,500rpm (4,600〜6,100rpm) もの広い範囲で最大出力を発生している。そしてフルスロットル時を想像すると、18d では 3,000rpm 辺りからトルクが急激に落ちて加速が鈍るだろうが、18i では4,500rpm 位からグングンと加速して行き 6,000rpm まで最大出力を保っているから、多分気持ちの良い加速感を味わえるだろう。と、これはあくまでも想像だが。

それでは両車のトルクの絶対値の違いは体感上は如何なのだろうか、という事を考えてみる。そこで例によってトランスミッションのギア比から算出した速度を表にしてみたが、これを見るとファイナルギアが 18i の 4.176 に対して 18d は 2.955 だから、18i の 220N-m は 4.176 を掛けて 918N-m のトルクとなるが、18d では 330N-m が2.955 倍だから975N-m と実際には10%程しかアドバンテージが無くなっているのだった。

しかもこれにトランスミッションのギア比を考慮する必要がある。実は BMW の場合、最近は 8速AT のギア比がどれも皆同じになっていて、ファイナルのギア比とタイヤ径で調整しているのだが、今回の sDrive 18i のミッションは何と7速でしかもトルコン方式では無く DCT を採用していた。BMW のセミオートといえば十数年前に M5 などの超高性能高価格モデルにシングルクラッチの SMG を採用していたが、一般モデルに、それもデュアルクラッチ (DCT) 方式というのは意外だった。

今回の試乗車は18i 、18d 共にデザインラインは xLine だったが、エクステリア上はフロントドアサイドのエンブレムを見ないと判別は付かない (写真3) 。最初に 18d から試乗したが、この試乗車のドアを開けるとブラウンの本革シートが目に入る。とう事はオプションのレザーパッケージが装着されていたのだろう。因みにもう一台の試乗車 (18i) には標準表皮が装着されていて、これはサイドのみ本革でセンターはファブリックとなっている (写真2) 。それで座った感じは如何かと言えば、BMW の本革は比較的滑り難いのだが、次に乗り代えた標準シートと比べると流石にファブリックの標準シートの方がグリップはシッカリしていると感じる。

では本革の魅力はといえば、先ずは如何にも欧州車らしいところと、ファブリックよりも汚れが染み込まない事だろうか。特に娘がミニスカ JK (女子高生の事) 真っ盛りだと隣に座った時に直 (じか) パン状態となって‥‥まあ、その何ですよ。

ドライバーズシートの高さは SUV としては低めで、少し高めのワゴンというところだろうか。これは降りる時にシートに座ったまま片足を地面に付けて降りられた事でも判るし、実際に多くの SUV ではもう少し段差を感じるからだ。

その為に運転時の視点もサルーンよりは高めだが SUV としては低いから、初めて SUV を買うユーザーにも違和感は無い。これがランドクルーザー等になるとよじ登り感があるし、運転中はサルーンを見下ろしている感覚だ。おっとランクルは SUV というよりも豪華オフローダーだった。

エンジンの始動はBMW 各車に共通の押しボタンスイッチでその外側にアイドリングストップのキャンセルスイッチが付いているのも同じだ (写真4) 。そしてエンジンを始動するとアイドリングを始めるが、ディーゼルとしては充分に静かで振動も少ない。


写真2
xLine のシート表皮は標準がレザー/ファブリックコンビ (写真右上)、オプションでレザー (写真左上) 。


写真3
フロントドア先端のエンブレムで xDrive 18d と判別できる。


写真4
BMW に共通なスタートスイッチ。

と言う事で、この先の試乗記については 18d が中編、18i は後編としてお送りする予定だ 。

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