NISSAN NOTE e-POWER NISMO (2017/10) 前編

  

どこのカーメーカーでも一般市販車を元にチューニングを施したスポーツブランドが存在する。例えば BMW なら M であり、メルセデスベンツなら AMG というのはカーマニアの常識だが、これらは最初はサードパーティーとしての位置付けだったが、最近では正規のラインナップに組み込まれている。国産車でも事情は同じで、今回の主役である日産の NISMO も 2013年のフェアレディZ NISMO からは日産本体の正式なサブブランドの扱いとなった。

日産以外ではトヨタが GAZOO Racing (TGR) を起点としたスポーツパフォーマンス G's(ジーズ)と、それに加えて正規のラインナップにはスポーツモデルの RS をラインナップしていたが、これらがごく最近 GRスポーツというシリーズに統合された。その中で Note e-POWER NISMO に対抗するのはアクア "GR SPORT" となるが、これは現時点では未だ詳細が発表されていない (写真1) 。なお、これら最近のメーカー系コンプリートカーは従来のチューニングショップの手掛けるモノとは異なり、エンジン (HV ではモーター) 性能はそのままで手を加えていないものが多い (勿論チューニングカーもある) という特徴がある。

上記2大メーカー以外ではスポーツイメージの強いホンダが思い浮かぶが、ホンダの場合は 無限 (MUGEN) というあくまで別会社のブランドで販売しているアフターパーツを取りつけるという形式で、上記2社のようにメーカーの正規ラインナップでは無い (写真2) 。そして次はマツダだが、以前はマツダスピードという系列会社が存在したが、販売不振により現在は純正アフターパーツ扱いでマツダスピードブランドのパーツは販売されてはいるが、扱いはホンダと同様にサードパーティーとなる。

スバルの場合はスバオタさんにはお馴染みの STI があるが、こちらは主要車種で各モデルのトップグレードとして STI の名を冠したモデルが用意されているのはご存じと思う。しかしスバルらしくエンジン自体が別物の高性能エンジンを積んでいたりと本格的だから、NISMO と一緒にするとスバオタさんから大顰蹙となるので注意が必要だ。他メーカーではスズキがスズキスポーツ、三菱がラリーアートなど何れもアフターパーツを取り扱っている。


写真1
近日発売されるであろうアクアのスポーツモデル。GR SPORT は新たに発足したトヨタのスポーツブランドで NISMO のライバル。


写真2
ホンダの無限はサードパーティーの後付けパーツ扱い。

Note には標準モデルとして 1.2L ガソリンエンジンとハイブリッドの e-POWER がラインナップされているが、NISMO モデルはそれぞれ Note e-POWER NISMO および Note NISMO としてカタログモデルとなっている。それに加えて標準の Note には無い 1.6L 140ps エンジンを搭載した NISMO S がラインナップされている。この NISMO S はカタログモデルではあるが扱いは特別仕様車で下の表でも判るように型式の末尾に "改" がついていて、これは構造変更の申請をするもので通称 "マル改” と呼ばれている。要するに本来の NISMO らしいスポーツ度の高いチューニングカーとしては、この NISMO S が一押しなのだが、最近はそんなに本格的では無くて所謂ナンチャッて的なものがトレンドとなっている。

そして今回の Note e-POWER NISMO もまさにその手のクルマであり、表で見れば判るようにエンジンもモーターも性能は変わらない。しかしこれがガソリンエンジンだと動力性能は変わらない訳だが、電気モーターの駆動系と言うのはエレキが関係するからそう簡単ではない。ということで、まあそれについては後ほど結果を述べる事にする。

ここで標準の Note e-POWER については下記試乗記を参照願いたい。
⇒ NISSAN NOTE e-POWER (2017/2) 試乗記

なお Note e-POWER NISMO の内外装については、何時ものようによりサイズの大きい写真を日記で紹介しているのでそちらを参照してもらうとして、
⇒ Nissan Note e-POWER NISMO (11月5日からの日記)

その為に、この試乗記では見方を変えて標準の Note e-POWER との比較を行い、その違いを調べる事にする。

最初に両車をザっと比べると、実は e-POWER NISMO は意外と大人しい外観で、これ見よがしの派手なエアロ等は見当たらない (写真3 - 4) 。まあ試乗したクルマのボディーカラーがブラックという事もあったが、レッドに塗装されたスペシャルパーツもボディ下端を一周する程度だ。なお写真では e-POWER NISMO を単に NISMO と表記しているのは、いちいち e-POWER NISMO では画像の邪魔になるからだ。そんな事書かなくても判るぞ、って、いやまあ、判らないヤツもいるんっスよ。


写真3
エクステリアでの大いなる違いはボディ下端を一周するレッドのスペシャルパーツ程度だ。


写真4
リアもそれ程の違いは無く、ルーフ後端のスポイラーも一見すると同じに見えるくらい大人しい。

今度は三面から詳細に比べてみると、フロントはバンパーとそこに組み込まれるアンダーグリルが異なるのは BMW M Sport でもお馴染みの手法で、言うまでも無く比較的安価な設備投資で済むというメリットがある (写真5) 。これがボディの一部を変更するとなると、板金プレスの金型を別途に新設するという大事となるが、これは BMW では M モデルが採用している方法で、こういう事が原因でベースグレードよりも2倍近く高いのもある程度 (あくまで "ある程度" だが) は頷ける。

リアについても同じくバンパーを変更していて、片側1本とはいえ太いメッキされた排気管がそれらしさを強調している (写真6) 。あれっ? エンジンのパワーは変わらないんだから、排気管が太いなんて意味ねぇんじゃねぇか? とか言ってる嫌味な奴がいるが、排気管が太ければフルスロットル時の抵抗が下がって瞬発力で有利になるというメリットだって有るんだよ。あれっ、ガソリンエンジンは発電してバッテリーに貯め込むのだから、瞬発力デンデンは関係無いんじゃねぇか、って‥‥いやまあ。ヤッパリ嘘八百を言うと、その釈明にまた嘘を言うからどんどんと墓穴を掘るというのは、デンデン首相やチンパン監房腸管の例を見れば良く判る。なおリアのルーフ後端に付くスポイラーが良く見れば標準モデルよりも少し大きい程度で、これ見よがしな馬鹿っぽいモノでは無い。

サイドビューはリアオーバーハングが長いのがハッキリ判るが、その理由はリアバンパーが出っ張っているのが原因で、ここでも比較的形状変更が容易なバンパーで差別化している。スペック上で NISMO の方が 65o 長いのはこれが原因だった (写真7) 。


写真5
フロントはバンパーとそこに組み込まれるアンダーグリルが異なるのはお馴染みの手法だ 。


写真6
リアもバンパーを変更して、片側1本とはいえ太いメッキされた排気管がそれらしさを強調している。

写真7
リアバンパーが出っ張っている事でリアオーバーハングが長くなっている。

それではその他の NISMO 特有のエクステリアを見てみよう。フロントバンパー左右端には専用LEDハイパーデイライトが装備され (写真8) 、ラジエターグリルには勿論 "nismo" のエンブレムが付く (写真9) 。ボディサイド下端にはレッドに塗装された専用サイドシルプロテクター (写真10) 、サイドミラーもレッドの専用品が付いている (写真11) 。

まあこれらは単なるドレスアップ部品だから性能には関係無いが、こういうのを喜ぶユーザーもいるのだろう。


写真8
NISMO 専用LEDハイパーデイライトが標準装備されている。


写真9
フロントグリルには小さい "nismo" のエンブレムがある。


写真10
ボディー下端には NISMO 専用サイドシルプロテクターも付く。


写真11
サイドミラーも明らかに標準とは異なる。

今回の試乗車はドアを開けた瞬間にレーシングシートのような過激な形状のシートが目に入るが、これは約27万円も高い "専用チューニングRECARO製スポーツシート" の付いたモデル (写真12) のためで、普通の e-POWER NISMO ではもう少し大人しいものになる。このシートは価格が高いだけでなく高くそびえたサイドサポートが邪魔になって乗り降りはし辛いなど見かけ以外にはあまり良い事は無い (写真13) 。まあお好きならどうぞ、というところだ。

ドアトリムについては標準モデルと事実上は同じだが、勿論肘の当たる部分の表皮が異なっている。

写真12
試乗車は27万円も高い "専用チューニングRECARO製スポーツシート" が付いていた。

 

 


写真13
オプションシートのサイドサポートは極端に盛り上がっていて乗り降りはし辛い。


写真14
ドアトリムは標準モデルと事実上は同じ。

ダッシュボードやコンソールは一見すると赤いアクセントが目立つので随分と雰囲気が違って見えるが、勿論基本的な形状は標準モデルと変わらない (写真15) 。その赤いアクセントは4つの円形のエアアウトレットの外周リングとコンソールを縁取るラインにレッドアルマイト風の質感で使用されている。センタークラスター中段のディスプレイの下に "nismo" のロゴの入った小さなエンブレムがあるが、小さいので良く見ないと気が付かない (写真16) 。

写真15
一見すると赤いアクセントが目立って標準と違って見えるが、基本的な形状は変わらない




写真16
センタークラスターは "nismo" エンブレムくらいしか違いが無い。

結局内外装の違いは NISMO のスポーツパーツというかドレスアップパーツというか、まあ性能に関係ない部分での差別化程度で、外見的には単なる見かけだけのナンチャってスポーツにも思えるが、いやいや、クルマは走って何ぼだから運転しないと評価にはならない。

ということで一番の興味である走行については後編にて。

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