Subaru Levorg 2.0 GT-S 特別編 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 スバル レヴォーグが登場する特別編としては既に Volkswagen Passat Variant 試乗記で Passat Variaqnt vs Subaru Levorg という内容を実施済であり、この時点ではレヴォーグは何と今回の2.0GT では無く 1.6GT だったが、結果はレヴォーグの圧勝ということで、一体VWはどうしちまったんだという疑問を残しての結論だったが、その後何とVW のディーゼルにおける不正排ガス制御プログラムの使用がバレて大騒ぎという事態が発生し、そうかやっぱり既にVW はオカシクなっていたんだ、と納得するものもあった。新型パサートが開発されている頃は既に不正ソフトを平気で組み込むような開発体制だったから、パサートだってロクな内容ではないのは当然だろう。不正発覚以前にはパサートはVWとしては得意分野を外れていることから、ゴルフのような向かうところ敵無しという内容をパサートで実現するのは不可能だったのだろうと考えていたのだが、他に理由があったのかもしれない。 そして今回はパサートと比較した 1.6GT (277.6万円) とはケタ違いのハイパワーである 2.0GT (334.8万円〜) だから相手は同じくハイパワーワゴンとするか、それとも同価格帯と勝負するかということで既に日記では BMW 218i Active Tourer (342.0万円〜) との比較を行ってみたが、確かに価格は同じとはいえスペック上のパワーウェイトレシオは其々 5.2 と 10.7 s/ps という大差であり、特別編での比較には無理があるかな、とも思っていた。そしてもう一つの問題は、スバル (というよりも国産車) オーナーに「なあんだ、やっぱりBMW なんて高いだけでスバルにまるで敵わないんじゃないか」と勘違いされる事だ。あっ、いや、まあ勘違いして自己満足に浸るのは自由だしそれに対しては何も言うことはないが、しかし此処はひとつ "教育的指導” としてスペックのパワーだけ比較してもクルマの良さは解らない事を理解させてやろう (何という上から目線!) という訳だ。 先ずは今回対戦相手に選んだ 320d Touring のエンジン性能だが、パワーでこそレヴォーグの300ps の半分近い 184ps ではあるがトルクにおいてはほぼ変わらないし、しかも 250prm 低い 1,750rpm から最大トルクを発生していることから、実際の市街地での運転ではむしろよりトルク感を感じられるのは320d の方だろう。まあこれについては後編で実際のフィーリングを比べることにする。 そうは言ってもパワーが小さいことには変わりないじゃないか、という強硬な反欧州車主義者 (そんな言葉あるかよ) もいるかもしれないので、それならば同じ3シリーズから 340i を登場させよう。パワーはレヴォーグよりも 26ps 多い326psでトルクは50N-m 大きい 450 N-m だから、これなら文句あっかよ、という乗りでスペック表に並べてみたが、ただし価格は798万円とちょいと高いが‥‥。しかし、レヴォーグの倍以上も出してやっと少し上かよ、なんて言い出しそうだから、最後に引っ張り出したのはC63 S AMG ワゴンで、これは何と 510ps 700N-m!だから問答無用で速いぞ!ただし、価格の方は1,400万円という結構なもので、まあ速くて当たり前と言いたい事も判るが、兎に角金さえ出せばバカバカしく速いワゴンを買うことは出来るし、レヴォーグの性能なんて大騒ぎする程じゃ無い、という如何にも特別編らしいストーリ−で話を進める。 なお BMW の場合は現在不在となっているM3 ツーリングの噂が絶えないが、これが出れば C63 AMG のライバルが増えたことになる。なお、アウディではむしろ高性能ワゴンを積極的にラインナップしていて、このクラスでは RS4 アバントが既に販売されており、V8 4.2L で 450ps 430N-m というスペックで価格は 1,317万円であり、まあ言ってみれば隙間商品で勝負している訳だ。なお、BMWをベースにした高性能高級車専門メーカーのアルピナからは3シリーズベースの B3 ツーリングが発売されており、3.0L ターボにより410ps 600N-m を発生するエンジンを搭載している。因みにお値段は 1,173万円とアウディやメルセデス AMG に比べてお買い得のようにも思えるが、アルピナの場合は如何にもそれらしいオプションを付けると簡単に200万円程度の上乗せとなるから何とも言えない。 ところで国産のステーションワゴンにはレヴォーグ 2.0GT 並の高性能ワゴンは無いのかと思い念の為に調べてみたが、やはり現行車にはその手のクルマは存在しなかった。まあ国産車の場合はステーションワゴン自体が今ではマイナー車種になってしまっているから、当然といえば当然だ。それでも一時期絶滅状態だった国産 Dセグメントワゴンも、最近はトヨタでは英国生産モデルのアベンシス ワゴンを再発売したり、マツダではアクセラワゴンという中々出来の良いクルマもあるし、ホンダには‥‥あれっ、過去にはアコードワゴンがあったが、アコード自体が FMC を機に日本ではハイブリッドのみ販売されている状況だから、当然ながらワゴンは無かった。 実は国産車にも過去には限定販売とはいえ高性能ワゴンが販売されていた事があった。その一つがニッサン ステージア 260RS でスカイラインをベースにしたステーションワゴンであるステージアに、泣く子も黙る国産車マニア御用達の R33 GT-R 用の RBエンジンを積んで、生産はオーテックが担当したものだ。もう一つ思い当たるのはランサーエボリューション、いわゆるランエボの\に設定のあったワゴンで、高性能版の GT にはランエボ\ と同じ280ps のMIVEC エンジンを搭載していて、当時の価格は346.5万円だった。 上記の2車のエンジンはいずれも最高出力が 280ps だった。あれっ、それってレヴォーグ 2.0GT の300ps に負けてんじゃあないのか? って、いう疑問が湧くだろうか、当時は悪名高き自主規制で国内販売車の上限が280ps に自主規制されていた。勿論自主規制とは言うもののシロアリ役人の意向だったことは間違いなく、このために日本の高性能車は技術開発が遅れたり、規制の無い輸入車に刃が立たなかったりと、日本の自動車技術の足を引っ張ってくれたのは、流石にシロアリ・売国・隠れキムチ役人だけのことはある。この規制が撤廃されたのは2004年の事だった。 何やら話が大分横道に逸れたが早速本題に入る。最初にエクステリアの比較をするが、車両はレヴォーグが2.0GT-S EyeSihght で 320d Touring はデザインラインが Luxury となっている。なお前回の特別編である BMW M4 Coupe vs Porche 911 の時は写真撮影に際して事情により M4 は狭いショールーム内であるのに対して911は公園での屋外撮影であり M4 は大きなハンディーを追ってしまったが、今回もレヴォーグが公園での撮影に対して320d はディーラーの駐車場という具合に、BMWが不利になっている事を明記しておく。 |
フロントフェイスはレヴォーグの場合は一目でスバルと判るようなグリルは現在存在しないから、グリル中央部の六連星のエンブレムを見ない限りは何処のクルマだか解らない。対する320d は誰が見ても BMW であり、そのアイデンティティも魅力のうちで高い車両価格が逆にステイタスにもなっている。勿論、これだけの評価を得るには長い時間を必要とした訳で、30年前、いや20年前だって未だBMWワゴンには今ほどのステイタスは無かったし、高級ワゴン=メルセデスだったのだが、今では3シリーズワゴンだって十分なステイタスとなっている。 この点では以前はメルセデス程ではないが高級輸入ワゴンといえばボルボが思い浮かぶユーザーも多かったようだが、その後フォードグループとなってからは落ち目の三度笠で転落街道まっしぐらで、長年日本で築いたイメージを一気に失ってしまった。一気に失うといえば昨年末に明らかになったフォルクスワーゲン (VW) の違法排ガス規制プログラム問題で、メルセデス程ではないが十分な信頼を得ていたVW も今後は会社の存続に関わるくらいの危機となるだろう。そしてメルセデスまでがVWとは事情が違うとはいえディーゼル車の浄化装置が低温時に作動しない問題で揺れ始めているところで、こうなると今のところドイツ勢ではBMWが安泰という情況で、このままだとBMW はまたまた競争相手のオウンゴールで漁夫の利を得ることになる。 サイドから見るとサイズとしてはレヴォーグが全長で45o 長く、全高は30o 高いから少し大きく見えう。ホイールベースは逆にレヴォーグが 160o 短いのはその分フロントオーバーハングが長くて、その部分にエンジンや駆動装置を搭載するためだ。対する3シリーズは長いホイールベースでフロントオーバーハングを切り詰めて、フロントアクスルよりも後方にエンジンを積むBMW 得意のフロントミッドシップレイアウトを採ることで前後配分を均等にして素直な操舵性を確保している。 このレイアウトを見ただけでも走行性能、旋回性能に有利な事は明白であり、正直言ってこの点では試乗比較云々の前にレヴォーグに勝ち目はない。逆にスタイリッシュという面では少なくともサイドビューはレヴォーグの方に勝ち目があるようにも思うが、まあこれは個人の好みだろう。とはいえ少なくとも3シリーズの長いボンネットは決してスタイリッシュと言えないのは何故だろうか? これがスポーツカーだったらば長いボンネット=高性能車のイメージで、これは同じBMWの2シータースポーツであるZ4を見れば明らかなのだが。 リアについては既に日記でのレヴォーグ vs BMW 2シリーズアクティブツアラーの比較で、何やら両車のリアビューの雰囲気が妙に似ていると指摘したが、2シリーズの兄貴分である3シリーズと比較しても両車のリアデザインは共通点が多い。どちらかがパクったとすれば発売時期からしてレヴォーグだが、まあこれは偶然の一致ということもあるから何とも言えないが、スバルに限らずどうしてもクルマのデザイントレンドは欧州に先を越されているのは昔から変わらないが、そういう面では日本車にオリジナリティを感じるのはプリウスであり、結局クルマというのはデザインのみではなく内部の構造からしてオリジナリティが無ければエクステリアも個性が無いものとなってしまうケースが多いようにも思う。 そういえば先代のレガシィセダンも街で走っているのを見ると何やら3シリーズセダンに雰囲気が似ていると感じたこともあるから、これはもしかすると確信犯かもしれない。 リアラッゲージスペースは全長が長くエンジンをフロントにぶら下げたレヴォーグに長さ方向では歩があり、しかも3シリーズは走り重視の凝ったサスペンションが仇となって左右端にタイヤハウスの張り出しが大きく幅方向も狭いから、結局この点ではレヴォーグの勝利となる。まあ、せめて実用性くらいは優っていないとねぇ。 リアのゲートの開閉についてはBMWでは多くのシリーズに共通の電動式であり、特にクローズ時にはモーターとギア音が結構聞こえるし、そのまま一定速度でバタンと閉まるという感性の無さを何度も指摘しているが、それでも実用性には全く問題はない。対するレヴォーグは今回取り上げた最上位モデルでも手動式で電動ゲートの設定は無いようだ。 |
次にインテリアに進むが、この先はその2に続く。 ⇒後編 その2へ |