Mercedes-Benz (W213) E200 (2016/8) 前編 その2

  

ドアを開ければそこに見えるのは如何にもドイツ車、というか如何にもメルセデスのインテリアがあるが、それでも以前のように国産車と全く違うという感じは無い (写真21-1) 。いや実はその昔は国産車のインテリアが世界基準からすれば変態であり、それが今では結構追いついたという方が正しいだろう。何しろ30年前の国産車といえば田舎のキャバレー風シートで座ればフニャフニャ、やたらと毛足の長い高級そうな (しかし趣味の悪い) カーペットは実は化繊の安物なんていうのが当たり前だった。

写真のクルマは ”スポーツ” だからサイドの張り出しの大きなサポートのキツそうなスポーツシートが装備されていた。ただし先代を見るとやはりバックレストの大きな張り出しは新型とほぼ同じだった (写真21-2) 。シート表皮は人工皮革でダイムラーの商標では ARTICO というらしい (写真22) 。なお、当然ながらオプションで本皮 (ナッパレザー) も用意されている。シートのポジション調整はシート側面には無い。スカッフプレートには勿論 "Mercedes-Benz" のロゴが付いているが、これが何やらケバくて品が無 (写真23) 。

写真21-1
ドアを開けると如何にもメルセデスのインテリアがある。

 

写真21-2
先代も雰囲気は同じで、特に左右のサポート重視のシートは新型にも踏襲されている。

 


写真22
シート表皮は人工皮革でダイムラーの商標では ARTICO という。


写真23
シートのポジション調整はシート側面には無い。スカッフプレートにはケバくて品が無い "Mercedes-Benz" のロゴが付いている。

ドアのインナートリムは先代とは全くデザインコンセプトが変わったようで、新型は上部にウッドトリム、中央部にレザー貼のパッドを使用しているが、ウッドトリムの色の関係で妙に全体的に地味だ。尤も先代だって地味だから、そういう面では本来Eクラスとはそういうものなのかもしれない。新型Eクラスの内装色は E400 ではベージュが選べるが、E200 では全てブラックとなる。この辺が BMW のモダーンで明るいインテリアも選べるのとは大きく違う。これは本来のメルセデスの質実剛健路線を強調して、ビーエムなんてチャラいのとは訳が違う、と言っているかのようだ。

スピーカーには "Burmester" のロゴマークがあるが、これはハイエンドオーディオ専門メーカーでブルメスターというメーカー製だ (とカタログに書いてある) 。シートに関する調整やメモリーはこの部分に集中していて、これは座面サイドにあるよりは見易いが、直感的に調整するという面では操作にあたってチョイと考えてしまう (写真25) 。いや、慣れの問題ではあるが。なお、ドアロックスイッチがドアノブ付近に配置されているのが、これは実に理にかなっている。

最近のメルセデスでは定番となっているのが、シート調整スイッチもパワーウィンドウスイッチも艶消しクロームメッキを使用している事だが、しかし随所に田舎 (シュツットガルト) のセンスが出てしまうから、やっぱり都会 (バイエルン) の BMW と比較すると‥‥いや、まあ好みの問題かも。


写真24
ドアのインナートリムは先代とは全くデザインコンセプトが変わっている。

写真25
中央部にレザー貼のパッドを使用しているが、ウッドトリムの色の関係で妙に全体的に地味だ。

スピーカーには "Burmester" (ブルメスター)というハイエンドオーディオ専門メーカーのロゴが付いている。

フロンドダッシュボードは上部中央に巨大なワイドディスプレイが装着されている。まあテスラ程ではないが現在の一般的なナビのディスプレイに比べると充分に大きい。ディスプレイの下部には室内幅一杯に前述の "地味な" 水平 (ウッド) トリムが走っている。水平トリムの中央部には丸型のエアアウトレットが4つ仕込まれていて、その下のチョッと低い位置にエアコン関連とオーディオの操作パネルが配置されている。まあ実際にはコンソール上のコマンドスイッチを使うから、こちらは視線移動が多くても問題なし‥‥ということか? とはいえ、それでもこの操作パネルは極力薄く作られていて、少しでも上部に配置することは考えられているようだ (写真28) 。

新型に比べると先代の場合は最近のメルセデスでは定番ともいえる電卓配列のテンキーが付いた操作パネルは時代の違いを感じさせる。ところでこのテンキーだが、日本では本当に必要なのだろうか、というよりこれを使っていたユーザーはいるのだろうか? という疑問は前からあったが、新型で廃止されたところを見ると大して重要では無かったのではないか。

センターコンソールにはコマンドダイヤルとその両側に多少のスイッチがあるが AT セレクターは無い。まあ、この辺は最近のメルセデスに共通した部分だ。ただし同じくコンソールに ATセレクターの無い先代では本当に何も無い情況で恐らく当時は試行錯誤だったのだろうが、今となっては「こりゃあやっぱりカッコ悪りいや」と言ったかどうかは判らないが、新型の方がクルマらしさはある (写真29) 。

センターコンソールの後端はリア用のエアアウトレットという当たり前の装備があるが結構簡素なもので、リア用エアコンコントロールパネル等が無いのはEクラスがショーファードリブンではなくオーナーカーである証拠だ (写真30) 。なおダッシュボード右端にはドイツ車でお馴染の回転式のライトスイッチが配置されている (写真31) 。

写真26-1
フロンドダッシュボードは上部中央に巨大なワイドディスプレイが装着されている。

写真26-2
新型とは全く異なる先代のダッシュボードは時代の差を感じる。


写真27
新旧最大の違いはセンタークラスラーで共通点は殆ど無いに等しい。

写真28
操作パネルは極力薄く作られていて、少しでも上部に配置することは考えられているようだ。


写真29
センターコンソールにはコマンドダイヤルとその両側に多少のスイッチがあるが AT セレクターは無い。先代も同様にATセレクターは無いが、それ以上にコンソール上には殆ど何も無いのが多少間が抜けている。


写真30
センターコンソールの後端はリア用のエアアウトレットという当たり前の装備がある。


写真31
ダッシュボード右端にはドイツ車でお馴染の回転式のライトスイッチが配置されている。

ということで、一番の興味である走行性能については後編にて。

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