Mercedes-AMG GLE 43 特別編
  [Merdedes-AMG GLE 43 vs BMW X5 xDrive 50i 前編 その2]

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

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それではエクステリアの比較から始める。両車の内外写真については既に其々の試乗記や日記で紹介済みであり、比較についても既に日記にて GLE 63 S と X5 M の高性能 SUV 同士を比較してあるから、今更同じようなことをやるのかよ、なんて言われそうなので、先ずは今回実際に試乗したクルマそのものを比較してみた。それぞれのグレードは GLE 43 はワングレード (1,150万円) で X5 xDrive 50i はM Sport (1,284万円) となっている。

両車のフロントフェイスに於ける其々のアイデンティについては今更でもなく、まあ王者の対決というところだが、そう言い切ろうとするとポルシェ カイエンの存在も浮かんできて、最近は中々競争が激しい。だいたいポルシェは本来スポーツカー専業の筈だったのに、こんな分野まで荒らし回っていて、しかもアウディやボルボならともかく、ポルシェともなるとブランドイメージはベンツ・ビーエムに勝るとも劣らない、いやそれ以上だから話は複雑だ。

と、この話はこれで終わりにしようと思ったが、おっといけねえ、レンジローバーを忘れてちゃあいませんか? てな訳で、いやいや、SUV の世界も中々厳しいものだ。

リアについては今回の展示車同士を比べる事にした。何度も書いてきたが SUV に限らずクルマというのはフロントに比べてリアの場合はアイデンティを表現しづらいのは、フロントのようにグリルな無いからで、まあ人間だって顔の正面から見れば違いが直ぐに解って、ひと目で美人かブ○かが判るが、後ろ姿だとおっ美人と思って何気なく前に言って振り返ったら、ギェ―なんてこともある訳で、後ろ姿ではひと目で区別を付けるのは難しいのと同じと思えば良いだろう。

次にサイドビューを比べると GLE は X5 と比べて全長では 95o 短い(4,815:4,910o) が 、ホイールベースでは 20o 短い (2,915:2,935o) だけであり、ということは GLE の方が全長に対してホイールベースが多少長めというか、オーバーハングが少ないと言う事だ。それで下の写真を見てみれば、まあ確かに GLE の方がリアオーバーハングが多少短めという感じはする。

全高については数値上では GLE は X5 より 5o 高い (1,765:1,760) が、まあ事実上同じと見て良いだろう。それよりもサイドビューでの2車の最大の違いはリアクォーターウィンドウであり、X5 はB、Cピラーをブラックアウトしてウィンドウエリアがフロントドア、リアドア、そしてリアクォーターウィンドウと一体になって見えるという最近ではメジャーなデザインだが、GLE では太いCピラーを強調して一見するとセダンのようなフォルムに見せているし、C ピラーで分断されたリアクォーターウィンドウはバックゲートから回り込んでいてリアと一体のように見せている。

リアゲートは GLE が一般的な一枚の上に跳ね上げるタイプだが X5 は上下に開くという大きな違いがある。今からもう 60年以上前になるが、当時ガキというよりも幼児の部類だった B_Otaku は、そんな頃からクルマが好きだったようで、大きさ的には全長 400o 程度のブリキ製のクルマのオモチャを何台も持っていて、その中に2台程フルサイズ米国車のステーションワゴンがあった。たしか1台はシボレーだった記憶があるが、このリアゲートが実際に可動して上下に開いたのを覚えている。それ故にステーションワゴンのゲートは上下に開くものだと思っていたし、その後父親が叔父の会社のクラウンベースのマスターラインバンを借りてきた時も、そのクルマのリアは米国車のような上下開きだった。

そんな訳で、ステーションワゴンのリアゲード=上下開きと思っていたら、国産車のバン&ワゴンはいつの間にか上ヒンジの一枚ゲートになってしまっていた。次に国産車の上下開きに遭遇したのはフルサイズクロスカントリーカーのランドクルーザー80だった。このクルマは当時オフロードカーマニアの憧れであったが、価格もさることながら当時に日本のインフラではデカ過ぎてどうしようも無かった。それぁ当然で、当時のランクル80の主要販売先は米国か中近東などで、とりわけ中東の砂漠なら大きさは関係ない、ということだったのだろう。そして米国フルサイズワゴンのような上下開きという点でも米国に目が行っていたということだ。

ドアを開けての室内の比較も既に何回が行っているので、ここで X5 については実際に試乗した xDrive 50i の写真を使ってみた。

シートについては当然のように両車共レザー表皮で、Eセグメントともなればセダンも含めて余程のベースグレードでもなければファブリックシートというのは有り得ないくらいの現状だ。ただしBMWでは M Sport の場合は話は別で、センターに専用のファブリックを使用してグリップを確保するというスポーティー強調路線となっている。ただし X5 の場合は上の写真のように M Sport でもレザーシートが標準となる。

そう言えば国産車の場合、少なくとも60年代くらい前までは布シートなんて殆ど存在しなくて、クルマのシートと言えばビニールだった。まあ良く言えばビニールレザーであり、表面の模様なども多少はレザーを意識していたが、勿論現代のフェイクレザーのような出来の良さでは無く、やっぱり ”ビニール” だった。このシートの良さは水で洗えることで、今でもタクシーの多くはこの手の表皮だし、パトカーも同様の筈だ。なんたってパトカーの場合は何ヶ月も風呂に入っていないホームレスや、覚醒剤中毒でヘロヘロの容疑者が車内でお漏らしするかもしれないし、酩酊者がゲロを吐くかもしれない。その為に車内を水で洗えることが絶対に必要になるという。同様に最近は見かけないがし尿汲み取り車、要するにバキュームカーも同様で、あの場合はそれこそダッシュボードからして水を掛けてゴシゴシと洗うという。

あっ、それで国産車のシート表皮に話を戻して、70年以降くらいから特にトヨタの中級以上では布を貼ったシート、ようするにファブリックシートがぼちぼち出てきて、今ではクルマのシート=ファブリックという情況だ。勿論上記の用途は別としてだが。

ドアを開けてクルマに乗り込もうと下を見ると目に入るのはスカッフプレートなどと呼ばれているサイドのアンダーフレーム上に貼られた装飾プレートだが、ここに各種のロゴを付けるのが最近の流行となっている。下の写真のようにメルセデスでも AMG の場合は当然 ”AMG" のロゴであり、BMW では M Sport だったら ”M” のロゴとなるが、本物のM モデルである X5 M の場合は ”M” のみでなく ”X5 M” となる。

シートのポジション調整は当然ながら両車共に電動式となっているが、その操作スイッチは GLE では多くのメルセデス同様にドアトリムに配置され、BMW の場合はこれまた多くがシートのベース側面に付いている。

ドアのインナートリムは其々の個性で全く違うデザインだが、基本的にはドアノブを中心として水平トリムを使ったり、アームレストのパワーウィンドウスイッチのパネルなど概ね似たような場所にある。また其々の水平トリムや開閉ノブ等の質感は当然ながらすこぶる良い。

なお前述のように GLEは最近のメルセデスの主流であるトアノブ隣にシート調整スイッチを配置する方式を採っている。

 

ダッシュボードを比べると、両車共最近のクルマらしくディスプレイが最上部に、しかもダッシュボード天板より飛び出して視認性を高めている。デザイン自体はそれぞれのポリシーに従っているが、どちらもダッシュボード天板は低目でメータークラスターが上部に飛び出しているように見える。

センタークラスターの最上部のディスプレイは GLE では縦横比の小さい正方形に近いものを使用し、X5 は対称的に可成りの横長となっている。その下はどちらもオーディオとエアコン関連のパネルとなっている。勿論このクラスの常識としてナビと共にオーディオやエアコンがシステム化されている。

センタークラスターのエアコンおよびオーディオ操作部は其々のメーカーらしい特徴があり、 GLE はメルセデスお馴染の電話のテンキーを備えているが、はて、これは日本で使いみちがあるのだろうか? あれっ、チョッと待てよ、E クラスでは最新の W213 からはこのテンキーが廃止されていた筈だ。そしてそのテンキーの付いたオーディオ部分のみは旧Eクラス (W212) と共通のようだ。ということは、最新ではない事になるが、やはり最初に変更されるのはベースとなるセダンからだということか。

それでは X5 はといえば、これはエアコンユニットは5シリーズと同じもののようだが、オーディオについては少し幅が狭い。その理由は取り付け位置が逆になっているからで、これについては X5 xDrive 50i 試乗記を参照願いたい。要するに両車ともベースとなるEセグメントセダンを基本にしているが、全く同じではないという事でも共通している。

コンソール上にはオーディオやエアコン・ナビなどの統合システムのコマンドダイヤルは配置されている。しかし GLE の場合は良く見るとコンソール上にAT セレクターが無いが、これは最新のメルセデスの仕来り通りだ。X5 ではBMW ではお馴染の電子式 AT セレクターも配置されている。ということは其々 GLE はEクラスと、X5 は5シリーズと同じということだ。って、そんなの当たり前だろう。



フロントのセンターコンソールの後端には両車共定番のリアパッセンジャー用のエアアウトレットが仕込まれている。そして更に両車共何やら小さな操作パネルらしきものが配置されているが、これはリア用のエアコンやオーディオの操作ようだ。更に GLE では両側のBピラーにもエアアウトレットがあり、これはサルーンではFセグメントのショーファードリブン車の装備であり、最近のEセグメントでは珍しい。

以上両車の内外装を比較してきたが、共通点も多いが其々のメーカーポリシーの部分もあり、それでもどちらを選んだとしてもインテリアでの不満は出ないだろう。

そして肝心の走行比較は後編に続く。


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