Porsche 718 Boxster (2016/12) 中編

  

前置きが長くなってしまったがここからは先代 981 について述べると、2012年に発売された 981 は 986 ⇒ 987 がプラットフォームに変更は無かったために本格的なフルモデルチェンジとは言いがたいものだったが、981 ではプラットフォームも一新され約50%がアルミ化された。981 も先代同様 991 (911) と多くの共有部品があり、開発も平行して進められたのは何時ものとおりだ。なお 981 の詳細については下記試乗記を参照願いたい。
  ⇒ Porsche 981 Boxstar S 試乗記 (2012/12)
  ⇒ Porsche 981 Cayman 試乗記 (2013/5)

その 981 の兄貴分である 991 がビッグマイナーチェンジにより Ph2 (Phase2) となったのに続いて、一足遅れで 981 も同様の変更があったが、こちらは何故か 981 Ph2 とは言わずに 718 という全く新しいコード番号が与えられた。

そこで先ずは 981 と718 の諸元を比較してみる。

アウターサイズについては 911 同様に全幅が広がっている。それでエクステリアを比べてみる (写真21〜24) と、ボディ形状が変更された様子もない。

ということはこれまた 911 と同様でトレッドを変更した関係で日本の法規ではタイヤが飛び出していると判断されてしまうために、フェンダーの一部に何やら付加して法律上の全幅を広げたのだろう。ということでリアフェンダー (写真20) を見ると‥‥ やっぱり!

しかしこんな突起を付けたらば返って歩行者に対して危険だと思うのだが、未だにこんなアホな事をやっているのは流石に北朝鮮並みの独裁体制の面目躍如というところだ。こういうのこそ、ドイツ政府が非関税障壁だといって対抗処置に日本車の輸入制限をほのめかしたりすれば、ビビって直ぐに対応するんじゃないかぁ。


写真20
リアフェンダーに飛び出した意味不明の突起。恐らく法規対策だろう。

とまあ、この話はこれくらいにしておいて、981 と 718 のエクステリア比較をよくよくみれば‥‥ボディの違いは殆ど判らない。一部のマスコミによるとボディパネルは一見似ているが大幅に変更されて云々と書かれていたが、本当かなぁ?? ボディパネルの変更なんてデッカいプレス型を新設する訳で、余程の理由がないとやらないと思うのだが。その為にどこのメーカーも MC に当っては比較的安価なフロントバンパーの樹脂型を新設して、これにより低コストで見かけを変えて変更した事をユーザーにアピールするのだが。


写真21
981 と殆ど変わらない 718 のエクステリア。


写真22
勿論リアビューだって違いは極少ない。

今度は真正面からの比較 (写真23) で詳細な違いを探してみると、MC の定番であるフロントのエアインテークの形状変更は当然実施しているが、一見すると判らない程度にキープコンセプトに徹底している。それではリア (写真24) はといえばこちらも当然ながら樹脂バンパーを多少変更しているのと、リアコンビネーションランプを結ぶ水平のラインが変更されている。さらにはランプ自体も形状が同じながらもユニット自体は変更しているようだ。ここでランプユニットの外形を変えてしまうと相手側のボディも変更が必要となり、何度も言うがスチールボディ−の変更には大掛かりな設備の変更が必要となるから、たかがリアコンビネーションランプくらいでそんなに金を掛ける事は無い。


写真23
フロントビューはビッグMCの定番であるバンパー内のエアインレット (ボトムグリル) の形状が 981 とは多少変更されている。


写真24
リアではランプを結ぶ水平のラインが変更されている。

ドアを開けてインテリアの比較をするとこれまた殆ど変更が無い。ただし写真25では 981 がオプショのパワーシート装着車のために座面サイドのシート調整部分が 718 と異なるが、標準シート同士なら変わることはない。ポルシェのシートは流石に多くのオプションがあり、試乗車とか展示車の多くは高価なオプションを装着してある場合が多い。因みに試乗車の仕様については輸入元が指定しているそうで、ということは日本全国どこのディーラーに行っても基本的には同じような仕様の試乗車なのだろうか。

なおシートの表皮について補足すると、ボクスターの標準シートは 987 から同様の座面がアルカンターラでサイドが人工皮革の "アルカンターラコンビ" となっている。更に大した事では無いが、718 ではスカッフプレートなどと言われているサイドスカットルに付ける車名ロゴの付いたパネルが 981 のシルバーに黒文字から黒字に白文字となっていた。

写真25
ドアを開けて視界に入るインテリアは 981 と比べて大きな違いは無い。

 

写真26
標準シートは従来通りサイドが人工皮革でセンターがアルカンターラのコンビシートだが、試乗車はオプション(27.1万円) のパーシャルレザーシートが装着されていた。

 

ドアインナートリムについてもやはり 981 との違いは無さそうだ。というよりも写真27を見ると殆ど区別がつかないくらいで、一瞬写真を間違って同じものを貼り付けてしまったかと錯覚したくらいだ。そんな訳だから、何でも誹謗中傷するしか能が無いキムチ君達は、これを見て同じ写真の使い回しだとか騒ぎそうだ。なお試乗車は前述のオプション装着のためにハンドグリップなどにレザーを貼ってある (写真28) 。

ところで前回 991 Ph2 試乗記を書いた時の記憶ではドアインナーパネルの質感は流石に千数百万円の車だワイ、と感心した筈だが、718ではチョイとチャチい感じがした。そこで 991 Ph2 (写真29) と比べてみると、あれっ?もしかしてデザイン自体は同じ? というよりも樹脂の一体部品は共有していたようにさえ見える。今まで気が付かなかったのはこうして比較してみた事が無かったからで、987/997 時代は似てはいるが明らかに別物だった為にそのイメージがあったのだが‥‥。しかもボクスターのドア外観はリアクォーターパネルのエアインテークに繋がるエグリがあるので気が付かなかったが、実は外観パネルのみの違いで、ドアの中身は同じだったようだ。

しかしその割には両車の高級感は大いに違うのは何故かと思ってよ〜く見比べてみたらば、718 は多くの部分で樹脂素材のままなのに対して、991 ではレザー仕上げを増やしたり水平トリムにシルバー仕上げを使ったりと素材を高級にしていたのだった。ということは、991 だって素のカレラに殆どオプションを付けなければ 718 並に "質素" になるのだろう。と共に 718 でもオプション装着によっては高級感漂うものになるということだ。

それにしてもボクスターと 911 のドアが実は共通で、上貼りの素材で違いを出していたなんて! これって銀座の一流店と新宿のホステスの違いは衣装と髪型と化粧だけ、っていうような事と同じじゃないのかぁ。


写真27
ドアインナートリムも 981 と変わるところはないどろろか、写真では区別がつかないくらいだ。


写真28
試乗車はオプション装着のためにレザー貼りのドアグリップが付いていた。


写真29
991 のドアは何と718/981 と同じで、要するにボクスターと911のドアは外観はともかく実は共通だということだ。

ダッシュボードも当然ながら変更はない‥‥と思ったが、よく見ればエアアウトレットの形状が角型から丸型に変更されている (写真30) 。しかしそれ以外のダッシュボード形状は変更が無いようだから、これはもしかして金型が最初からこの部分を交換式に作ってあって、大規模マイナーチェンジではエアアウトレットの部分のみ別の型を組み合わせるなどの手法のような気もする。いやこれは単に想像だが、日本でも結構一部を交換する金型とか、更にはプロブラムで組み合わせが自動的に変更されるとか、まあ流石にハイテクの時代だから、いろんな手法があるだろう。

なお 991 では Ph2 もエアアウトレットの変更などはなくダッシュボードは全く同じだったが、718 の場合はあくまで 981 Ph2 ではなく別モノだという事を強調する積もりなのだろうか。更にエアアウトレットに挟まれていたオプションのストップウォッチの位置も 991 のようにトップボード上に移動した。そしてセンタークラスター上のデバイス類はと言えばこれは 991 と同様でエアコンユニットは Ph1 と同じだが、そのすぐ上にはオーディオのユニットが見えていて、本国仕様と同様にオーディオ&ナビを統合したシステムになっていた (写真31) 。そしてそのユニットは 991 Ph2 と全く同じだった (写真32) 。

写真30
ダッシュボード自体は一見すると 981 と変わらないように見えるが‥‥
エアアウトレットの形状が違う。


写真31
センタークラスターを見ると、718では市販オーディオ一体ナビの流用は止めて欧州と同じ専用のユニットとなった。

写真32
エアコンユニットは 981 と同じだが、そのすぐ上にはオーディーのユニットが装着されていて、本国仕様と同様にオーディオ&ナビを統合したシステムになっていた。この部分も 991 Ph2 と全く同様だ。

ということで、今回のハイライトであるターボ化による走行性能については後編にて。

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