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BMW 330e (2017/5) 前編

  

トヨタが世界初の量産ハイブリッド車 (HV) である初代プリウスを発売したのが 1997年で、それから 10年以上 HV はトヨタの独壇場だった。その当時の HV というのは電気自動車 (EV) が完成されるまでのつなぎと思われていたから、他社は HV に関しては積極的な取り組みはしていなかった。ところが EV はバッテリーの開発が進まず、これが仇となって思うような進化が得られず、結果的に一時しのぎと思われていた HV の立場は大いに向上し、トヨタ以外の各社も HV に力を入れるようになってきた。とはいえ十年以上の差がついている他社が発売した HV はトヨタに比べれば明らかに見劣りするのが実情だった。

こんな状況の中で 2011年、初代プリウスよりも14年遅れで BMW からアクティブハイブリッドという名称の HV が発売された。従来 BMW のサルーンはシリーズ名から始まる3ケタの数字で構成されているが、こちらは3シリーズベースならばアクティブハイブリッド3と呼ばれ、同様に5や7も順次発売されていった。その中でアクティブハイブリッド3は3シリーズとしてはかなり上位グレードである6気筒 3.0L ターボで306ps 400N-m というそれだけでも十分に速そうなエンジンに加えて 54ps 210N-m の電気モーターでのアシストというハイパワー車であり、プリウスに代表されるトヨタの HV とは方向性が違っていた。

このアクティブハイブリッドについては下記の試乗記があるので、詳細はそちらを参照願いたい。
  ⇒BMW ACTIVE HYBRID 3 & 5 (2013/7)

このアクティブハイブリッド3は 2015年に3シリーズがマイナーチェンジされた時点で廃止となり、その代わりに 330e というプラグインハイブリッドモデルが追加された。この 330e は4気筒 2.0L の言ってみれば 320i と全く同じエンジンにハイブリッド用のモーターやバッテリーを追加したもので、重量は320i に比べて190kg も増加しているのは、電気機器 (特にバッテリー) が如何に重いかということだ。なお現行3シリーズ セダンでは 2.0L ハイチューン版である 330i の設定が無く、要するに 2.0L エンジンの過給圧を上げる代わりにハイブリッド化によるモーターのアシストで同じ効果を上げる 330e をラインナップしたという事だ。

ところで表の一番右に比較用として並べたレクサス IS 300h の仕様を見ると、流石にハイブリッドの本家であるトヨタだけあってモーターの出力は143ps と 330e よりも60%以上も強力だし、燃費も勝ってはいる。ところがエンジンは同じ4気筒でも 2.5L自然吸気という一時代前の代物であり、結果的にシステム出力では 330e の方が 15%程勝っている。トヨタには最新のコンセプトによる 2.0Lターボエンジンがあるのだから、これを IS 300h にも使用すればスペック上では何とか追い付けるのだが、世界のトヨタといえども未だそこまでに至っていないのだろう。

レクサスの話題が出たところでライバルの日産はどうだろうか? レクサス IS のライバルと言えばインフィニティ−Q50 (日本ではスカイライン GT) で、このラインナップに 350GT ハイブリッドというモデルがあり、V6 3.5L 自然吸気 306ps エンジンに68ps の電気モーターを組み合わせたもので、コンセプトとしてはアクティブハイブリッド3に近く、要するにより動力性能を向上させるために電気モーターの高トルクのアシストを利用するタイプだ。

なお IS300h および 350GT ハイブリッドの詳細については以下の試乗記を参照願いたい。
Lexus IS 300h (2013/7)
Nissan Skyline 350GT Hybrid (2014/5)


写真1
レクサス IS300h はスペック的に 330e に近いが、エンジンが時代遅れの4気筒 2.5L自然吸気だ。


写真2
スカイライン 350GT ハイブリッドは V6 3.5L に加えて電気モーターのアシストを得るという、BMW のアクティブハイブリッドに近い考え方だ。

本題に入って、今回の試乗車は 330e M Sport で実は何時ものように既に日記でよりサイズの大きい写真を紹介している。
 ⇒ BMW 330e (2017年6月1日からの日記)

という事もあるし、このサイトでは3シリーズは何度も取り上げている事もあり、今回は内外装の写真についてはハイブリッドに関連した部分を主として最小限にした。えっ、それって手抜きじゃねえか、って? じょ、冗談じゃあない。そんな人達の為に負けるわけにはいかない‥‥んっ、違った。

エクステリアを見れば、これは普通に3シリーズセダンであり、320i と比べても特に目立った特徴は無い。それでは識別はといえば、リアのトランクリッド後端にあるエンブレムが “330e" である事と、Cピラーに “eDrive" というエンブレムがある事くらいだ。なおリアの排気管は片側2本出しだから、クルマ好きが見れば 320i (1本出しが仕来り) で無い事は即座に解る筈だ。


写真3
一見したところでは 320i との区別は付かない。ただし、良く見るとリアから覗く排気管はダブルになっている。


写真4
330e である事の識別は後端の “330e" とCピラーの “eDrive" というエンブレムで判断できる。

HV といえば大型のバッテリーを積んでいるためにトランクスペースが狭かったりリアシートのバックレストが倒せなかったりという使い難さが懸念される。それでは 330e はといえば、リアシートのバックレストはガソリン車同様に前に倒してトランクスルーが出来るし、床面の高さも殆ど変わらない。ここで殆どと表現したのは実は床位置が少し高いからだが、写真で見ればそれ程でも無いのが解るだろう。なおトランク内の床板を持ち上げると 320i ではでは多少の小物入れが出現するが、 330e ではそもそも床板は持ち上がらないい。いや正確に言えば手前のごく一部のみ持ち上がるが、そこにはファーストエイドセットが入っていてみ、それ以上のスペースは無い。


写真5
リアシートのバックレストは前倒してトランクスルーが可能で、また床面は多少高い程度でHV としては優秀な部類だ。


写真6
330e のトランク床下には殆どスペースが無い。

写真7
330e のバッテリーは後軸アクスルの上、トランクの床下に搭載されている。


今度は室内を見るためにドアを開けてみると、そこは見慣れた3シリーズ Mスポーツのシートを始めとしたお馴染みのインテリアが見える。シート表皮は勿論サイドと中央先端部にアルカンターラを使い、センターには専用のファブリックという何時ものMスポーツルックだ。そしてシート調整はシートフレーム側面のスイッチで、ここにはポジションメモリーがあるのも3シリーズに、いやTシリーズまで含めて共通のものだ。

サイドフレームの上に付いているスカッフレートなどと呼ばれる装飾プレートには、これまたMスポーツの定番である ”M“ ロゴが‥‥と思ったら、この部分に関しては完全に何時もの仕来りを破って、BMW の PHV の名称である "eDrive" のロゴだった。

ドアのインナートリムは、肘が当たる部分のパッドにシートセンターのファブリックと同じ表皮を使ったもので、これまた 320i Mスポーツと同じだ。

写真8
ドアを開けた眺めでは、一見して 320i との違いは判らない。


写真9
M Sport の専用表皮なども 320i と同じ。


写真10
スカッフプレートだけは本来の “M“ ロゴではなくPHV を表す "eDrive" 。


写真11
ドアインナートリムも 3シリーズ Mスポーツそのもの。


写真12
拡大すれば勿論Mスポーツらしく質感も結構高い。

もうここまで来ればダッシュボードも 320i と見分けが付かないであろう事は想定できるし、実際まさにその通りだ。そしてセンタークラスターだって、コンソール後端にあるリア用エアアウトレットだって、これらはそのまんま 320i だ。

写真13
ダッシュボードも 320i と見分けが付かない。ただし下の 320i は Sport のためにステアリングホイールが異なる。


写真14
当然ながらセンタークラスターも 320i と同じ。


写真15
コンソール後端にあるリア用エアアウトレットも 320i と共通。

結局 320e は 320i そのものにハイブリッドとしての電気機器と追加しただけだから、内装はそのまんま 320i だった。

そして肝心の走りについては後篇にて。

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