BMW X5 xDrive 35d (2015/7) 前編 (1/2)

  

前回試乗した PORSCHE Cayenne のライバルといえば BMW X5 が思い浮かぶ。現行 X5 は 2013年に発表された3代目 (F15) であるが、試乗記は勿論日記での実車の写真紹介も未だだった事に気が付いた。F15 が日本で発売されたのは2011年の秋で、この時期は BMW では現行3シリーズが発表された頃であり、その後はトヨタ 86というこれまた絶対に外せないアイテムが続き、X5にまで手が回ら無いうちに気付いてみれば今になってしまった。

現行の X5 は直6 3.0L ターボの xDrive35i (860-945万円 7人乗り含む、以下同様)、直6 3.0L ディーゼルターボの xDrive35d (859-967万円)、そしてV8 4.4L ターボの xDrive50i (1,146-1,270万円) のラインナップであり、今回の試乗車は最も売れ筋という xDrive35d を選んでみた。

ライバルとのスペック比較については、やはりCayenne は外せないということでその中から X5 の価格の近い、というか X5 xDrive 35d よりも多少 (70万円) 安いベースモデルを取り上げてみた。また BMWでは X5 よりワンランク下のX3 から、その中ではトップモデルの X3 xDrive35i xLine (767万円) を取り上げたが、このモデルは X5 xDrive35i xLine (888万円) と同じエンジンを搭載しているが価格は120万円程の差があるから、要するにX3 と X5 では100万円以上の価格差があるということで、これはサルーンならば3シリーズと5シリーズの関係と似ている。更には X3 とサイズ的に近い PORSCHE ということで Macan を選んだが、これも最近試乗したTurbo では無く、価格的にX3 に近いMacan S を選ぶことにした。

こうして見るとX5と Cayenne 、そしてX3と Macan はお互い結構意識しているというか、価格もスペックも近いことが判る。ただし、0 -100q/h 加速についてはパワーでは劣るもののトルクが圧倒的大きいディーゼルターボのメリットを活かしてX5が自然吸気の Cayenne に1秒以上の差を付けている。またサイズ的に一クラス下の X3 と Macan は何れも軽量ボディの強みを発揮して5秒台中程という俊足を誇っている。

前置きは此のくらいにして早速 X5 のエクステリアを眺める事にする。PORSCHE の場合、Cayenne と Macan は明らかに大きさが違うとはいえ全幅については25o 狭いだけだったが、X5 と X3 では全幅の違いは 60o あり、更に全高も X5 が 85o も高いから見た目の大きさの違いはより大きい。というか、X5 の見た目の大きさ、というよりバカデカさは相当なものだ。


写真1
X5 よりもワンサイズ下の X3 は価格的に同じエンジンならば100万円以上も安い。


写真2
サイズ的には X5 と殆ど同じ PORSCHE CAYENNEは価格的にはX5よりも高い設定となっている。


写真3
X3に比べて幅や長さはもとより、全高も85o 高い事から数字上の寸法以上に大きく迫力がある。


写真4
リアゲートも比較的垂直なこともあり、リアからの迫力も充分だ。

フロントフェイスはでっかいキドニーグリルと共にごっついフロントが他を威圧する迫力は「オラオラじゃまだぁ〜」気分を求めるユーザーにはピッタリだ。全長 4,910o 、全高 1,760o というサイズは PORSCHE Cayenne よりも更に少し大きいから、迫力満点、というよりもブクブクと大きく決してスマートとは思えない‥‥というのは、あくまで個人の見解だが‥‥。元来、キドニーグリルというのはアンチビーエム派からば豚顔と馬鹿にされていたわけで、確かにあのグリルは腎臓というよりも豚の鼻という感じはする。ところで、このアンチビーエムというのは例えばメルセデスなどのドイツ車のライバルやフランス、イタリア車などラテン系欧州車など、兎に角BMW 以外の欧州車の熱狂的ファンかといえば、まあそういう例もあるだろうが、BMW=高価=金持ちということで、非金持ちからすれば攻撃の対象に一番適していることもあり兎に角ビーエムが気にくわない、という事のようだ。まあ、そうは言っても20年前ならばBMWが走っていれば目立ったものだったが、最近ではチョッと郊外の新興住宅地に行けばカーポートに3シリーズがある家も結構見かけるし、普通の ”サラリーマン” が多く済むファミリーマンションの立体駐車場にも3シリーズ何てゴロゴロと見かけるし、そのために日本向の3シリーズはドアの取っ手を別仕立てとして全幅を1,800o として立体駐車場に適合させているくらいだ。

次にヘッドライトはバイキセノンタイプが標準で、コーナではヘッドライトの角度を自動調整するアダプティブヘッドライト機構も標準装備されている。なおオプションで アダプティブLED ヘッドライトも装着できるが、個人的には LED ヘッドライトのメリットを感じていない。テールライトは当然ながら 全て LED を使用している。テールライトのような照射というよりもマーカーとしての使い方には LED が一番だ。

このようなフロントの迫力に比べるとリアは実用車的で、後ろについたクルマは全く恐怖を感じることはない。リアのアイデンティティとしては BMW に共通のテールランプの形状などから、このクルマが BMW であることは判るが、それでもフロントのように多くの人が一目で判るという事はない。


写真5
大きなキドニーグリルが目立つフロントフェイスは BMW以外に有り得ないスタイルをしている。


写真6
リアは大きな特徴は無いとはいえよく見れば独特のテールランプなど BMW の特徴を持っている。

写真7
全長 4,910 x 全高 1,760o というサイズはPORSCHE Cayman よりも長さで55o、高さで85o 大きいこともあり、兎に角巨大で塊感満点に見える。


写真8
ヘッドライトはバイキセノンタイプが標準で、コーナではヘッドライトの角度を自動調整するアダプティブヘッドライトも標準装備される。


写真9
テールランプは当然 LED タイプで、その形状は他の BMW 車とも共通なデザインとなっている。

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