BMW X1 xDrive20i (2015/11) 前編

  

BMWの SUV は X で表され、5シリーズベースの X5とそのクロスオーバーというか SUV クーペというか、何やら誰が買うのかと言いたくなる X6 、そして3シリーズベースの X3、更にボトムラインに位置するのが X1であり、この X1は 3シリーズツーリング (E91) をベースにした初代 (E84) が2009年に発売されている。当時のラインナップは 2.0L 150ps の sDrive18i、2.0L ターボ 184ps の xDrive20i、そして6気筒 3.0L 218ps の xDrive25i、更には2.0L ターボ 245ps の xDrive20i という幅広いラインナップを持っていた。

中でも2WD の sDrive18i は発売当時の価格が 363万円よりという事もあり、世間からは大いなる関心が寄せられたことで当時の BMW ディーラーの駐車場には今までまずは見られなかった極普通の国産中級車、それもそろそろ買い替え時と思われる低年式車が見られるようになっていた。当時の3シリーズツーリングは 320i が424万円からだったので sDrive18i の 363万円という価格は大いに魅力的だし、当時のレガシィ ツーリンゴワゴン 2.0GT の 364万円と同等の価格だったのだから、確かに国産車からの乗り換えは予算的には充分に可能だった訳だ。

その X1 が6年ぶりにフルモデルチェンジを行い2代目 (E84 → F48) となった。E84 が当時の3シリーズ ツーリングをベースとしていたのに対して、今回の F48 は 2Series Active Tourer (F45) をベースとしている。そのために下の表を見ると両車はホイールベースとトレッドが同一となっている。そして F48 は先代 (E84) と比べると全長が−35o、全幅は+20o、全高は+35o 、ホイールベース (W/B) は−90o というように長さ方向が短くなっているのは車両セグネントがDセグメントからCセグメントになったということだが、X1 という名称からしてもこれが本来の姿とも言える。

エンジンバリエーションはベースモデルが3気筒 1.5L ターボ (136ps) の sDrive18i、4気筒 2.0L ターボ (192ps) の xDrive20i、そして2.0L のハイチューンモデル (231ps) が xDrive25i だが、今現在では xDrive20i のみが発売されている。そして未発売の2車種の諸元を見れば型式やJC08燃費が空白になっていることで未だ型式認証が取れていない事が想像できる。またグレード展開は最上位の xDrive25i を除きベースグレードの Standard 、そして全てに xLine と M Sport が設定される。

ということで今回の試乗車は必然的に xDrive20i になる。それでは早速エクステリアから見てみるが既に11月13日からの日記で写真を紹介しており、こちらの方がサイズは大きいためにギャラリー的な意味ではこちらを参照願いたい。そしてこの試乗記では日記では触れなかったベースとなる 2Series Active Tourer (E45) および先代 X1(84) とを比較する事にする。

その3車のエクステリア比較では今回の新型 X1(F48) が先代 (E84) に比べて遥かに SUV らしく立派に見える。しかしスペックを見るとE84 の全高は F48 より25o 低いだけだが何故か SUV というには車高が低く見えてしまう。その理由を考えてみると、E84 はルーフレールが付いていて、これが数十o はあるために実際の車高はスペックよりも 80o 程低くなっているから、SUV というよりもクロスオーバーという感じがする。

今度は兄弟分のトールワゴン2Series Active Tourer (F45) と比較すると、F45 の全高は 60o 低いだけだが見た目は F48 が如何にも SUV らしく見える。そこで斜め後方からみると実に良く似ていて、更に側面から比較してみると、基本的なデザインも共通している。それなのに F48 はSUV独特の威圧感すら感じるのは BMW のデザイン力の成せる技だろうか。そこでフロントフェイスを比較すると F48 のボンネットラインは先端まで高い位置を維持しているために結果的にフロント先端の高さが高くなりキドニーグリルも高さ方向に大きく、これが威圧感を増していると考える。F45 はその反対にボンネットラインは先端に向かって下降していてフロントはより大人しく見えることで、ファミリーユースが主体となるトールワゴンらしく見える。

なおリアフェイスは F45 と F48 では共通点が多く、基本デザインは共通化されている。


写真1
新型 X1(F48) は先代 (E84) に比べて遥かに SUV らしく立派に見える。


写真2
この角度から見ると基本的なデザインポリシーに大きな変化は無いのが判る。

写真3
サイドの比較ではルーフやウエストのラインの違いや位置でデーター上では60oしか違わない全高の F48 と F45 をそれぞれ全く違う雰囲気のクルマに仕立てている。

E84 はRWD であることやシリーズ中に直列6気筒エンジンを持つこと、ベースが3シリーズであることで長いボンネットという従来のBMW的プロポーションを持っている。


写真4
F48 のボンネットラインは先端まで高い位置を維持していてフロント先端の高さが高くなりキドニーグリルも高さ方向に大きく、これで威圧感を増している。


写真5
リアビューは F45 と F48 では共通点が多く、また E84 も基本的には同系統のデザインを基本としている。要するにどれもBMWらしいということだ。

F48 のヘッドライトは全グレードで光軸調整機構付きのLED 方式が採用されている (写真6) 。また通称イカリングと呼ばれるスモールライトもLED を採用している。なお F48 には全グレードにフォグランプが標準装備されている。ところで X1 のグレード表示は何処にあるのかといえばフロントドア前方にエンブレムがあり、試乗車の場合は X Drive 20i と表示されている (写真7) 。

テールゲートを開けた状態を比較すると F48 も F45 もBMW としては意外に広く特に奥行きが結構深いのに気が付くが、考えてみたらばどちらも FWD ベースのエンジン横置きだった (写真8) 。成る程 FWD のスペース効率の良さを見せつけられたところで、流石のBMW も全ての車種に RWD を死守することを諦めたのも仕方がないかもしれない。と話のわかるふりをしたが、正直言ってチョッと寂しくもある。


写真6
F48 のヘッドライトは全グレードで光軸調整機構付きのLED 方式が採用されている。


写真7
X1 のグレード表示は何処にあるのかといえばフロントドア前方にエンブレムがある。


写真8
リアラッゲージスペースはF48 も F45 もBMW としては意外に広く特に奥行きが結構深いのは FWD ベースのエンジン横置きの恩恵だろう。

今回は3車の比較ということで大分ボリュームが大きくなってしまった。元々スマホ対応をサボっている当サイトだが、流石にこれ以上長くなるのは不親切ということで分割した。

そのためインテリアについては中編にて。

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