Mazda Roadstar AT & MT (2015/8) 前編 (2/2)

  

ヘッドライトは外観上可成り小さく、このデザインは好き嫌いがありそうだ (写真11) 。そして全てのグレードで LED ヘッドランプを使用しているのは時代の先端を行っているのだが、走りを優先するスポーツカーならば ECO で LED ランプを採用するよりも、明るさでは有利なディスチャージランプが欲しかった。

スポーツカーらしさ、というよりも高性能車らしさはリアから覗く排気管による演出が大いに効果があるが、Roadster の場合は太いダブルマフラーが覗いていて雰囲気は満点だ。しかもこの排気管は先端だけ太くみせたいわゆるマフラーカッターを付けたのではなく、本当にこの太さで繋がっている。1.5L NA エンジンでこの太さを実現するのは技術的に何かをやらかしている筈だ (写真12) 。

リアのエンブレムは左に ”ROADSTER" 右に ”SKYACTIV" とその下に小さな文字で "TECHNOLOGY" と書かれているが、エクステリアのそれ以外の場所には Roadster 等の車名のエンブレム類は無い (写真12) 。


写真11
小さなツリ目のヘッドライトは好き好きがありそうだ。全グレードで LED ランプを使用している。


写真12
高性能車を暗示する太いダブルマフラーは飾りではなく本当にこの太さで繋がっている。


写真13
リアのエンブレムは左に ”ROADSTER" 右に ”SKYACTIV" とその下に小さな文字で "TECHNOLOGY" と書かれている。

次にリアのラゲージスペースを見るために後方に回ってトランクオープンのレバーを探すが見当たらない。そうか、MAZDA も BMW ばりにマツダマークを持ち上げると‥‥いやマークはビクともしない。結局室内のスイッチ類からトランクの開いているシンボルを捜して‥‥いや見当たらない。実はリアのナンバープレート用照明の右に小さなスイッチがあったのだが、しゃがんでも見えないので手探りでそれを押すと開くことができた (写真14) 。それで目の前のラゲージスペースはといえば面積は狭いが意外と深さ方向に大きい (写真15) 。とはいえ他のサルーンやクーペと比べれば狭いことは間違いないが、ハードトップをトランク内に収納するために事実上ラゲージスペースが無いに等しい RHT などに比べればスペースが有るだけマシだ。

オープンボディの Roadster は当然ながらドアにサッシは無いから、ドアを締めた時にサイドグラスを固定するには BMW や Porsche のようにドアを開けた時にはガラスが少し下がり、閉めた直後に少し上げってルーフ側の溝に食い込むという機構が一番良い。国産では NISSAN FAIRLEDY (Roadster も含めて) がこのような構造を採っているが、Roadster の場合はといえば、何とドアノブを引いたらサイドウィンドウが下がって出ないか! もうこれだけで印象は実に良くて、このような真面目な設計思想ならば、走り自体も悪いはずがない、と思うのだった。


写真14
トランクリッドは写真の青↑のスイッチで開けるが、知らないと判らない位置にある。


写真15
ラゲージスペースはといえば面積は狭いが意外と深さがある。


写真16
サイドウィンドウは BMW や Porsche のようにドアを開けた時にはガラスが少し下がり、閉めた直後に少し上げってルーフ側の溝に食い込む。これは立派!

そしていよいよドアを開けて室内を見ると、まあ当然ながら結構狭いが雰囲気は Z4 や Boxster と`”相通ずるモノ" を感じる2シータースポーツの王道的なセンスだ。今度はシートに目を移すと2シータースポーツとしては意外と大人しい形状をしているが、これは近い将来にマツダスピード辺りからスペシャルモデルが出るとか、それ以前に多くのスピードショップから社外品が発売されるだろう。

シート位置の調整は全て手動式でシート表皮は "Special Package" ではファブリックに赤いステッチのものを使用しているが  "Leather Package" となるとその名の通りでレザーとなるが体が触れる部分のみ本皮で、サイドや背面は合成皮革となる (19〜20) 。日本車の場合レザーシートはかなりの鬼門であり一般的に品質は決して良くない場合が多いが、さて Roadster のレザーシートはといえば、まあねぇ、決して良いとはいえないけれど、目くじらたてて怒るほどには悪くない。それにしてもこのクルマのキャラクターから言ってレザーシートが果たして必要だろうか、なんて野暮なことは言わないが、これも個人の趣味の問題ということで片付けてしまおう。

ドアのインナートリムはドアノブ付近の上部パネルがボディと同色となっている (写真21)。ということは写真22は黒いボディであり、今回の試乗車で黒ボディは Special Package ということになるから、合成皮革と赤いステッチの組み合わせは Special Package でも同様と判る (写真22) 。多くのクルマはシートがファブリックの場合はドアトリムもファブリックとなるのだが、その点では Roadster は珍しい。それに対してアームレスト先端にあるパワーウィンドウスイッチのバネルはカーボン風というのだろうか、何やら表面に模様が入っているが、これはチョイと安っぽい (写真23) 。

写真17
Z4 や Boxster と相通ずるモノを感じる2シータースポーツの王道的なセンスのインテリア。

写真18
シート位置の調整は全て手動式で、座面は先端のみ上下できるが、全体的な上下は出来ない。


写真19
"Special Package" ではファブリックに赤いステッチのシート表皮を使用している。


写真20
 "Leather Package" のシート表皮は体が触れる部分のみ本皮で、サイドや背面は合成皮革を使用している。

写真21
ドアのインナートリムはドアノブ付近の上部パネルがボディと同色となっている。なお写真は  "Leather Package" の場合だが、これは "Special package" でも特に変わらない。


写真22
写真の "Special package" でもレザー (フェイク?)に赤いステッチは "Leather Package" と変わらない。


写真23
パワーウィンドウスイッチのバネルの模様はチョイと安っぽい。

ダッシュボードのトップパネルは手前に向かって低くなっていて、中央のディスプレイとメータークラスタの部分が高く飛び出していて、前方視界とメーターやナビなどの視認性を両立しており、全体の印象はスポーツカーらしい機能的なものだ。

エアコンの操作パネルはセンタークラスターというよりもダッシュボード下端の一部とも言える位置にあり、それ以下は小物入れくらいでそこからセンターコンソールに繋がっている。最近のマツダの方式に従ってディスプレイは標準装備でオーディオの操作もコレで出来るがナビはソフトの入ったSD カードを数万円で購入することで、純正ナビに早変わりする (写真25) 。

センターコンソール上は ATセレクター (シフトレバー) を中心にその手前にはBMW iDrive のコマンドダイヤルそっくりのコントロール用スイッチ (MAZDA ではコマンダーコントロールと呼ぶ) があり、その右にはオーソドックスなパーキングブレーキレバーがある。なお写真は AT 車の場合でこれが MT 車となるとセレクターの代わりにシフトレバーとなるのだが、先端のノブや根元のブーツなどがほぼ同じで見た目にはちょっと判らないくらいだ。

写真24
ダッシュボード周りの印象はスポーツカーらしい機能的なものだ。

写真25
中央のディスプレイはダッシュボードより高く飛び出していて走行時の視認性を高めている。

またエアコンの操作パネルはセンタークラスターというよりもダッシュボード下端の一部とも言える位置にある。


写真26
センターコンソールは AT セレクターとその手前にはコマンダーコントロールと呼ばれる操作スイッチがある。


写真27
コマンダーコントロールを拡大してみるとBMW のiDrive のコマンドダイヤルそっくりだ。

ということで、何時ものように走行編については中編にて。

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