Lexus IS200t (2015/10) 前編 |
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レクサス IS といえば北米ではBMW 3シリーズのライバルとしてプレミアムセダンの売れ筋真っ只中のクルマだが‥‥えっ? 日本では3シリーズのライバルじゃあないのか? とか冒頭から突っ込まれそうだが、まあそれについては後編で触れるとして、その IS のバリエーションはV6 2.5L の IS250、直4 2.5Lハイブリッドの IS300h、そしてハイパフォーマンスモデルとして V6 3.5L の IS350 というラインナップだったが、これは世界的に見て最近のトレンドである小排気量ターボエンジン、すなわちダウンサイジングの波に乗り遅れているいうことになる。 何をおっしゃるびーおたさん。「レクサスにはダントツの技術力を誇るハイブリッドがあるではないか」と言われそうだが、確かに以前ならレクサス (というかトヨタも含めて) には伝家の宝刀であるハイブリッドがあるのだからダウンサイジング化なんて必要が無い、というスタンスだったようだが最近はどうもそうも言ってられない状況になってきて、遅ればせながらトヨタも 2.0L ターボエンジンを新規開発し先ずは昨年秋にブランニューモデルであるコンパクトクロスオーバーSUVのNXに NX200t として搭載されたが、今回は IS にもこのエンジンが搭載されて IS200t となった。 IS200t の発売によりそれまで IS シリーズとしてのボトムラインだった IS250 は販売が終了された、と思ったらば実は4WDモデルは継続販売されていた。このような4WDモデルのユーザーは豪雪地帯であり、それはそれなりに必要なものであり、継続だろうが何だろうか廃止は出来ないところだ。近い将来に IS200t に4WDが追加されるかどうかは、ハテ? ということでこれらを下の表にまとめてみた。 IS250 は4WDということもあるが、IS200t に比べれば確かに燃費は悪いし、エンジン性能も特にトルクが大きく劣っているのは言い換えれば過給エンジンの高トルク特性のメリットに負けたということだ。なお IS300h のシステム出力は 220ps であり、これまた IS200t に負けているが燃費を見ればそちらのメリットは確かにあるのだが、車両価格が50万円程高いから元をとるには大変であり、余程の長距離ユーザー以外はメリットとして疑問でもある。とはいえハイブリッド=省エネみたいな風潮があるから、世間体を気にするユーザーにはそれなりのメリットもあることになる。 そういう意味では帰宅時間帯の赤坂付近なんてお抱え運転手が待機して沿道にズラリ並ぶ法人車の多くがレクサス LS のハイブリッドで、これはエコカーに乗っていると言いたいのだろうが、1,500万円の馬鹿でかいクルマでエコも無いとは思うが、これは支配者側の質が悪いのか、庶民がバカなのか‥‥まあその両方だろう。 それでは IS200t は前身ともいえる IS250 とどのくらい違うのか、先ずはエクステリアから比べてみると結論は一言、全く同じということだ。まあ厳密に言えばリアのエンブレムが IS200t と IS250 という違いはあるがそれは当たリ前で、と言いたいが実は兄弟分とも言えそうなクラウンの場合はエンジン排気量を表すエンブレムが一切無いなら、外観では2.5L なのか3.5L なのか判別がつかない。因みにクラウンもごく最近になって IS200t と同じエンジンを積んだモデルを発売している。 ところで、写真3 を目を掻っ穿って(かっぽじって) よ〜く見ると200t と250 ではヘッドライトの中身が明らかに違うが、これは写真の IS200t にオプションの LED ランプが装着されているからで、この部分も本来は全く同じとなる。なお LED ヘッドランプはハイブリッドの 300h に標準装備され、それ以外ではディスチャージランプが標準となるのは流石にレクサスで、ベースグレードにはハロゲンランプ、何てことは無い。 |
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今度は真後ろから比べてみると、ご丁寧にも写真5のように排気管まで同じだった。勿論前述のようにエンブレム (写真6) は違うが‥‥。 トランク内のスペースについては 250 は勿論ハイブリッドの 300h も全く同様で、ハイブリッド車といえば普通はバッテリースペースにより奥行きが狭いとか、当然ながらリアシートのバックレストを倒してのトランクスルーが出来ないなどの不便さがあるのだが、この面では流石にトヨタのハイブリッド技術は進んでいる。 |
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ここでIS200t の目玉である 2.0L ターボエンジンについて、そのライバルとのスペックを比べてみる。 見ての通りで最高出力からするとBMW330i に近く MB C250 に勝っているが、330i や C250 は2.0L といってもハイパワーバージョンであり、その下に売れ筋の 320i や C200 がある。ということは IS200t は言ってみれば IS300t とか言っても良いのだが、そうなるとハイブリッドの IS300h の販賣に支障を来すとか、まあ色々政策的な面もあるのだろう。なお、最大トルクは表の4車種全てが350N-mとなっているから自然吸気ならば 3.5L と同等の高トルクだ。 なお BMW 330i はごく最近追加されたモデルだが、内容的には328i を僅かに出力アップしたもので、事実上は名称変更という感じだ。そして328i に試乗した時の結果は同じ2.0L ターボでも 320i に比べて明らかにハイパワーを感じるものだっただけに、それに近いスペックの IS200t には大きなる期待が出来るのだが‥‥まああまり期待すると失望する場合もあるの (何やら意味深) で試乗してからのお楽しみ‥‥と焦らしておこう。 |
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さてここまではエンジン以外には IS250 と変わるところは無かったのでおおよそ予想はできるが、ドアを開けた時の眺めも IS250 と同じだ。ただしレクサスに限らないが、欧州車も含めてこの手のプレミアムブランドではインテリアはエンジンによる違いよりもグレードによる違いが大きく、ベースグレードかラグジュアリーグレード (IS では version L、3シリーズでは Luxualy など) かスポーツグレード ( IS では F SPORT、3シリーズでは M SPORTなど) かによって大きく異ることのなる。 そこで今回は IS200t のベーグレードの写真を主としてインテリアを見てみるが、これは IS300h でも、更には IS350 でもベースグレードならほぼ同様となるが、一番高性能な IS350 でもベースグレードがあるのはむしろ珍しい。すなわちBMW 3シリーズでは Standard と呼ばれるベースモデルが設定されているのは 320i と320d のみとなっている。 実際にドアを開けるとベースグレードということもあり地味だが欧州調の落ち着いたインテリアが目に入る。だだし同じ IS でもこれが F SPORT となるとド派手な赤/黒ツートーンインテリアなどもあり、それを選ぶと下品な派手さを満喫できるが、正直言ってこういうセンスはイタリア車には敵わない、というか日本人デザイナーの最も苦手とする分野だ。 ベースグレードのシート表皮は中央部がモケットでサイドは人工皮革だが、これは結構見栄えが良いから無理してレザーシートを装備した version L なんていらないようにも感じるが、まあこれも個人の好みの問題だからレザーシートが欲しくて数十万円のエクストラコストを支払うのも自由だが‥‥。実際、レザーシートなんて冬は冷たいし、表面はどうしても滑りやすいし、そんなに良いものとも思えないのだが、レザーシートに憧れるユーザーが多いのも現実だ。 次にシート位置調整についてはベースグレードでも電動化されていて、シートサイドにあるシートの断面を模したスイッチで操作するが、このスイッチの配置は世界標準と言っても良いくらいのものだから初めてこのクルマに乗っても全く違和感なく操作出来る。ただしシート位置のメモリー機能は無く、これが上位のグレードになるとドア内側のドアノブ付近にメモリースイッチが並んでいる (写真17) 。このメモリースイツチは夫婦や子供などと共有で頻繁にドライバーが変わる場合には実に有用で、これがないと休日に亭主が乗る度にウィークデイに乗った家族の位置から自分用に再調整する必要があり、その度にベストポジションが判らなくなったりして結構いい加減な位置で運転していたりする。 なお、性能や機能には全く関係ないが、ベースグレードにはトヨタでいうところのスカッフプレートが付いていない。これに対して上位モデルではクロームメッキに LEXUS ロゴが浮き出る立派なプレートが付いている。このプレートは元々欧州車に付いていたもので、これがないと何となく安っぽく感じるのだが、まさかこのプレートのために数十万円出して上位グレードを選ぶという事は無いだろう。個人的な意見としてはベースグレードとはいえプレミアムブランドを自称する LEXUS なのだから、プレート一枚くらい付けても良さそうな気がするが‥‥。 そしてドアのインナートリムについてはどうもイマイチ質感が良くないように感じる。それでも今回の主役であるベースグレードならまだしも、上位グレードでも色が違うなどはあるにしても質感自体は変わらない。この部分については同じ国産車として商売敵のインフィニティ (要するにNISSAN だが) の方が上手のようにも感じる。 |
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写真11 |
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IS のダッシュボードのデザインはチョッと変わっていて、フロントウィンドウ下端から手前に100o 程出たところで大きな段差があり、そこから一段下がった状態で手前に繋がっている。と文章にすると分かり難いが写真18 を参照すれば直ぐに判るだろう。んっ? それってオマエの文章力の無さが原因だろうって? まあ、確かにそれは言える。 ところでその一段下がった天板は左右のサイドウィンド下端と合っているから、要するにボンネットとサイドウィンドウ下端に段差があるということで、これは写真18の右側の写真を見れば一目瞭然だ。何故ボンネットの位置を高くしているのかは定かではないが、想像出来るのは対歩行者事故で跳ね上げた被害者をボンネットのクラッシャブルゾーンを作って吸収させることでダメージを最小限に押さえる、というのは考えられる。 そしてセンタークラスターを見てみれば、既に IS300h 試乗記で取り上げたのと同じエアコンとオーディオの各操作パネルがあり、これはエンジンやグレードに関係なく IS に標準となっている。まあ、オーディオなどの操作については BMW の iDrive と同じ発想でコンソール上にパソコンのマウスのような入力装置を配置していて、これはBMW よりもよりパソコン的なもので丁度以前のIBM 製ノートパソコンに付いていた ThinkPad みたいなもの (写真20) で、Lexus ではこれをリモートタッチと呼んでいるようだが、何故か最新のカタログでは特に写真などを掲げずにサラッと流しているのは「なんだかんだ能書き垂れたってBMWのパクリじゃんかぁ」とかいう輩がいるからか、それとも今更大きなセールスポイントにならないと考えたのか‥‥さて、どうなんでしょうねぇ。 |
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写真18 |
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結局見た目では内外装とも従来の IS250 と変わらず何だか拍子抜けしたような状況だが、まあそれはそれで2年目で大きな改良は必要無かったという贔屓目な解釈も出来る。そして一番の興味はやはり2.0L ターボというダウンサイジング化の結果であり、これについては実際に走ってみてのお楽しみ、と焦らしながら後編に続く。 |