今度は今までデフォルトのコンフォートで走っていた走行モードをスポーツに切り替えてみる。50q/hで走行中にコンソール上のSPORTと書かれたスイッチ(写真45)を押すと、正面のディスプレイにはSPORTの文字が現れるが、例によって小さくで視認性は良くない。そして、スポーツモードに入った瞬間に回転計の指針は500rpmくらいビョンと上がる‥‥‥と、考えていたのだが変化は無く、回転計は相変わらず1,500rpmを指している。
次にマニュアルモードを試してみる。先ずはDレンジで巡航中に左のパドル(写真46)を引いてみると、僅かなタイムラグの後にシフトダウンが‥‥起こらない。あれっ?この機能は無いのかと思い考えていると、やや遅れてシフトダウンが起こった。この手の使い方は下り坂などでエンジンブレーキを必要とする時に使うのが本来だが、それにしても何故こういう動作をするのだろうか。試乗中にランダムに3回ほどチャレンジしたが、何れも結果は同じだった。そして、次にはセレクターレバーを左に押してマニュアルモードにする。ここでも1,500rpmで巡航中に左のパドルスイッチ(写真46)と引くと、僅かなタイムラグの後にシフトダウンが‥‥起こった。そしてもう一度左を引いてみると一瞬遅れて指針は2,500rpmまでビョンと跳ね上がる。それならと、更にもう一回シフトダウンを試みると遂に3,000rpmまで上がった。そして更に調子に乗ってもう一度左のパドルを引いたら、こんどは5,000rpmまで跳ね上がり、こんな高回転域でもエンジンはスムースに回っているし、音も静かで実にジェントルなエンジン特性を魅せつけられた。逆に言えば、腹に響く重低音や耳をつんざく高音などはほとんど聞き取れないから、ドライバーによってはチョット物足りないかもしれない。
AT車のマニュアルモードというのは所詮オマケだからマッハのレスポンスを期待するのは間違っているのだが、最近はDCTタイプの装着車も徐々に増えていて、特に出来の良いDCTと比較する悪い癖がついてしまったのかもしれない。だだし、トルコン式だってDCTには無い良さが有り、それはDCTの場合はスタンバイ中の他系統(偶数と奇数)の選んだギアが目論見違いとなると決して速くないことだ。すなわち、4速巡航中の他系統が5速で待機しているのにシフトダウンを選ぶと、5速から3速に入れ替えてからクラッチを切り替えるために、突然反応が悪くなると感ることだ。これに対してトルコン式ならばアップでもダウンでも同じ条件で動作可能だから、平均して適度に速いレスポンスとなる。
数年前のBMWだったら、走行モードをスポーツにした瞬間にシフトダウンと共に回転数は上がり、レスポンスもチョッとやり過ぎくらいに良くなるし、エコを選ぶと途端にレスポンスは悪くなり少しくらい踏んでも加速をしないなど、いくらエコとはいってもこれでは使い物にならない、という状況だったが、今回の640iは各モードの差が少なくなり、COMFORTに比べ少しづつ変化するような設定だった
|