Mercedes Benz E350 BlueTEC Wagon(2010/10) 中編


新Eクラスワゴン(S212)の内装は基本的にセダンと同等で、とりわけ今回のモデルからはリアシートのバックレスト角度もセダンと同様になった(写真21、22)。実はEクラスワゴンといえども、先代S211のリアシートのバックレストがセダンに比べて立っていた(写真23)のだが、ようやく今回セダンと同等になった訳だ。
 

写真 21
Bピラーまでは基本的にセダンと同一のインテリア。先代ワゴンのリアシートはセダンに比べてバックレストが立っていたが(写真23)、新型ではセダン(写真22)と同じ角度になって、より リアの居住性がアップした。


写真22
現行W212(セダン)のリアシートのバックレスト。S212はワゴンでもセダンと同程度に寝ている。
 

 


写真23
先代Eクラスワゴン(S211)はリアシートのバックレストが立っていた。

 

Eクラスの各グレードとシートの関係は中々複雑で、文章だけでは上手く説明できそうにないため、下の表に纏めてみた。
 
  クラスのシート表皮組合 ● 標準 ○ オプション      
  グレード 車輌価格 シート表皮 シート調整
セダン ステーショ
ンワゴン
ファブリック レザーツイン レザー
DAINAMICA
本皮 4ウェイ
パワーシート
メモリー付
パワーシート
写真24-1 写真24-2 写真24-3 写真24-4 写真25-1 写真25-2
 

E250 CGIブルーエフィシェンシー

634万円 669万円    
 

E250 CGIブルーエフィシェンシー
アバンギャルド

698万円    
 

E300

730万円 765万円      
 

E300 アバンギャルド

780万円        
 

E350 ブルーテック
アバンギャルド

798万円 833万円    
 

E350 アバンギャルド

850万円 885万円        
 

E350 4マチック アバンギャルド

895万円 930万円        
 

E550 アバンギャルド

1,080万円 1,115万円        
 

E63 AMG

1,495万円 1,530万円        
 

オプション価格

          31.5万円   15万円

シート表皮は基本的に4種類で、ベースグレードのファブリックは御馴染みの平織り(写真24-1)で、アンチ輸入車派から言わせると国産コンパクトカー並というヤツだ。そんな事もあり、E250とE300の多くはアバンギャルド(E200:+64万円、E300:+50万円)を買うようだが、ワゴンには設定が無いために、ベースグレードにオプションの本皮シート(31.5万円)を付けることになる。E300もE250と殆ど同様となっている。

今回試乗したディーゼルエンジン車であるE350ブルーテック アバンギャルドは座面がファブリックでサイドが合成皮革(写真24-2)となっている。そしてE300アバンギャルド以上のガソリン車には本皮シートが標準となる。写真24-4のように、BMWでもお馴染みの、厚く てシボもハッキリとした如何にもドイツ的な表皮で、見るからに丈夫そうだ。

シート調整はE250およびE350ブルーテックが座面上下とバックレスト角度(リクライニング)のみが電動の「4ウェーパワーシート」で、その他はフル電動の 「メモリー付パワーシート」となる。調整スイッチは4ウェーパワーシートが国産車やBMWでお馴染みの座面のサイドにあるタイプ(写真25-1)で、メモリー付パワーシートはドアのインナートリム にスイッチ(写真25-2)が配置される。
 


写真24-1
ファブリック表皮。E250とE300のベースグレードに標準装備。

 


写真24-2
レザーツイン表皮。サイドが合成皮革で座面がファブリック。E350BlueTECに標準装備。

 


写真24-3
レザーDAINAMICA表皮+ホワイトステッチ。サイドが合成皮革で座面がスエード調ファブリック。E250アバンギャルド (設定はセダンのみ)に標準装備。

 


写真24-4
本皮表皮。E300アバンギャルド以上(ブルーテックを除く)に標準装備。

 


写真25-1
バックレストと上下のみが電動の「4ウェイパワーシート」。

 


写真25-2
「メモリー付きパワーシート」の操作はドアインナートリムに配置されている。

 

初めてメルセデス(S123)の運転席に座った時、あまりにも国産車との違いが大きくてカルチャーショックになったものだった。何しろ当時の国産車といえば、アメ車チックな横長メーターだったり、ダッシュボードもゴチャゴチャと煩雑だったのに対して、メルセデスの簡潔で合理的なダッシュボードやセンタークラスターなど、もうこれは根本的に勝負にならないと悟ったものだった。そして 、あれから35年が経ち、今現在クラウンやフーガのフロントインテリアをEクラスと比べてみても、当時程の差は無くなって来ている。まあ、細かいところを見れば、思想の違いなどはあるが、これも趣味とセンスの問題として、ユーザーの好みで割り切れる程度の差となってもきている。

そうはいっても、やっぱりメルセデスはメルセデスで、シートに座った瞬間に何やら独特の雰囲気はある。しかし、昔のようにメルセデスのドライバーズシートに座っているという感激は薄れているし、ステアリング中央やボンネット先端に見えるスリーポインテッドスターのマークに感動しながらの運転という程でもない。そりゃあ、まあ、35年前の”ベンツ”なんて運転するどころか走っている姿を見ることさえ稀だったのだが、今や郊外でも結構見かけるし、都心へ行けばゴロゴロしているから、感動しろって言うほうが無理ではあるが・・・・。
 

写真 26
質は高いが華は無い実用重視の室内はメルセデスらしく”如何にもドイツ”という感じがする。 ただし、明るい色のインテリアも選べるから、それで随分印象が異なる。


写真27
例によってゴチャゴチャとボタンの並んだオーディオ&ナビの操作パネル。
 

 


写真28
細かいマニュアル設定もできるエアコンの操作パネル。フルオートで使う分には温度調整しか使わなさそうだ。

 


写真29
コンソール前端のカバーを開けると、中には灰皿とドリンクホルダーがある。
 

 


写真30
ルームミラーの上部天井にはヘッドアップスイッチがある。
 

 


写真31
BMWのi−Driveのようなコマンドダイヤル。

 


写真32
パワーウィンドとサイドミラーの調整スイッチは運転席アームレストに、ドアロックはドアハンドルの隣にある。
 

 

メルセデスの偉大なのは、その安全思想であり、今回のEクラスにも数々の先進的で感心せずにはいられない安全装備が満載されている。ここではとても説明 しきれないが、メルセデスの公式サイトでは多くの判りやすい映像付きで詳細な解説かある。興味のある方はここをクリックして、別枠でのリンク先を参照して頂くことにして、ここでの解説は省略させてもらおう。

というところで、乗り味については後編にて。

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