Volkswagen Polo TSI (1.2turbo) (2010/6) 前編 ⇒後編

 


今回のMCはエンジンが1.4NA→1.2ターボという変更が主で、それ以外の変更は極少ない。
写真は新設グレードのハイラインのために1.4NAとは多少異なるが、コンフォートラインの場合は殆ど変わらない。

フォルクスワーゲンポロがFMCされ5代目となったのは昨年だった。発売時のラインナップは1.4ℓのベースグレードであるコンフォートラインのみだったが、今回は早くもエンジンが1.2ℓターボに変更され、1.4ℓは廃止されてしまった。更にグレードもベーシックなコンフォートラインに対して上級装備のハイラインが追加された。

1.2ターボを解説する前に、今回はポロの歴史について簡単にまとめてみよう。先ずは下のように、初代ポロは1975年に欧州で発売された。これは名作ゴルフより1年後だが、ポロの位置付けは当時の新しいフォルクスワーゲンのコンセプトによる新型車ゴルフの弟分ということになる。
 

ポロ

初代 代目 代目 代目 代目 ゴルフU ルポ

型 式

86 86C 6N 9N 6R 19E 6X

年 代

1975-1981 1981-1994 1994-2001 2001-2009 2009- 1983-1992 2000-2006
 

日本国内仕様前期

- 1988- 1996- 2002- 2009- 1984- 2004-
 

 排気量/最高出力

- 1.3L/50ps 1.6L/75ps 1.4L/75ps 1.4L/85ps 1.8L/105ps 1.4L/75ps
 

日本国内仕様後期

    2000- 2005- 2010-    

 排気量/最高出力

    1.4L/75ps 1.6L/105ps 1.2L/105ps    

全 長(mm)

3,512 3,725 3,715 3,915 3,995 3,985 3,525

全 幅(mm)

1,559 1,570 1,660 1,665 1,685 1,665 1,640

全 高(mm)

1,344 1,350 1,435 1,480 1,475 1,415 1,475

ホイールベース(mm)

2,335 2,335 2,410 2,470 2,470 2,475 2,320

車輌重量代表kg)

685 780 1,050 1,140 1,080 1030 933

ブレーキ フロント/リア

ドラム/ドラム Vディズク/ドラム Vディズク/
ディズク
Vディズク/
ディズク
ディズク/
ドラム

ポロに限らず、どのクルマでも言えることは、モデルチェンジの度に大きくなっていくことだ。日本の軽自動車の寸法は全長3.4m、全幅1.48m以内だから、それでも初代ポロ は寸法的には現在の軽自動車よりは一回り大きかったことになる。そして、現行の5代目ポロの寸法はゴルフUと殆ど同じ。ゴルフも肥大化してしまった現行車に対して 、最も使い 良かったと言われているのが2代目(ゴルフU)だったから、現行ポロの寸法は正にジャストサイズということなり、ポロの最大の魅力も実はここにある。 なお、VWはボロの更に下にAセグメントのルポを設定していた時期もあったが、結局は1代で終了となってしまった。
ただし、歴代ポロのエンジンについては最近の小排気量化の影響もあるが、それにも増して35年に渡り排気量の増大は殆ど行われていなかったことが判る。それでもパワーは確実に増大していったのは技術の進歩ということだろう。
 


写真1
初代Polo 86型(1975〜1981)

 


写真2
2代目Polo 86C(1981〜1994)

 


写真3
2代目Polo 86C クーペ

 


写真4
3代目Polo 6N(1994〜2001)

 


写真5
4代目Polo 6R(2001〜2009)

 


写真6
2代目 ゴルフU(1983〜1992)

 

今回のMCの目玉は、エンジンが1.4ℓNAから1.2ℓターボに変更されたことで、これによりパワーは85→105psへ、最大トルクは13.5→17.8kg・mと一クラス上の性能となった。1.4NAモデルは既に試乗しているが、安定性などでは先代から大いに進歩した新型ポロも、動力性能の不足は結構気になったし、この時点で近い将来に1.2ℓターボが出て、これが本命である事は誰もが知る事実だったから、今回は相当な期待を込めての試乗となる。

今回の試乗車は上級グレードのハイライン(242万円)で、コンフォートライン(213万円)よりも29万円高く、その主な相違点は鉄っチンホイール→アルミホイール、スタンダードシート→スポーツシート、セミオートエアコン→フルオートエアコン、ホイールとシフトレバーがウレタン→レザー、更にはパークディスタンスコントロールが追加されている。
 


写真7
この角度からは基本的にMC前と変わらない。

 


写真8
6ライトというよりも、Cピラーに小窓を付けたとう感じの側面も御馴染みのもの。

 


写真9
1.4との違いはTSIのエンブレム。
なお、黄色↓はハイラインに標準装備のパークディスタンスコントールのセンサー。

 


写真10
リアラッゲージスペースも車格の割には十分広い。
ショボいリアサスのメリットでもある。

 


写真11
ハイラインはフロントエアインテイクにクロームの縁取りがあり、フォグ&コーナーリングランプが標準で装着される。

 


写真12
現行ゴルフと並べてみると、肥大したゴルフよりもポロが結構小さいのが判る。ポロは大成功を収めたゴルフUとほぼ同一サイズとなっている。

 

室内は前回乗った1.4ℓに対してハイラインというだけあって多少は豪華になってはいるが、大きく変わる訳でない。シートに座ってみると、1.4コンフォートラインだって決して悪くはなかったし、ハイラインが大幅に良くなっているという訳でもなく、どちらもVWのシートらしく少し硬めで、如何にも長時間ドライブで疲れが出なさそうなタイプだ。VWの大きなメリットの一つ が疲れないシートというのは今でも変わらない (写真14)。

なお、ポロはハイラインにオプションでアルカンターラ/レザレットのコンビシートを選択できるが、シートの調整は全て手動式(写真15)で電動式は無い 。これでは、夫婦で共用する場合にはドライバー交代する度に手動で調整し直す事になり、場合によっては最適ポジションが判らなくなるかもしれない。

次に室内を見回して、コンフォートラインとの大きな違いは、エアコンがセミオート⇒フルオート(写真20)となったことくらいだろうか。オーディオについてはどちらも共通のものが付いている。
 

写真 13
室内は1.4と大きくは変わらない。VWの中でもボトムラインの車種だけあって、実用車らしい質素な内装となっている。

 
写真14
ハイラインは表皮が異なることと、サイドサポートもシッカリした形状で、カタログではスポーツシートと標記されている。

写真15
シート調整は全て手動式。
@ 座面の上下
A シート前後
B リクライニング(ダイヤル式)

 

写真16-1
ハイラインの室内。この写真だけだと、コンフォートラインとの違いはちょっと判らない。 よく見ればステアリングホイールの垂直なスポークにメッキがあることと、センタークラスター中部のエアコンパネルが多少異なる。

写真16-1
こちらはコンフォートラインの室内。


写真17
写真の最上部はミラーの調整スイッチでこれは使い辛い。インナートリムの材質はコンフォートラインよりは多少高級な素材を使っている。

 


写真18
ダッシュボード右端のライトスイッチは欧州車では御馴染みでポルシェ各車も殆ど同様。

 


写真19
オーディオはグレードに関係なく同一品が装着されている。

 


写真20
コンフォートラインはセミオート、ハイラインはフルオートエアコンを装備している。

 

今回の目的は1.4との乗り味の違いだから、早速エンジンを始動するためにブレーキペダルを踏んで、スタートボタンを探したが、無いっ!

というころろで、続きは後編にて。

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