530i(E60) (2003/11/07)
 

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試乗車一覧




試乗車は走行1500km程なので、恐らく当たりは取れていないだろう。内装はハイラインパッケージで本皮仕様、さらにサンルーフがオプション装備されていたので、しめて733万円也。タイヤとホイールは標準の225/50R17、ランフラットタイヤを装着している。色はブラックサファイアという黒メタだけど、一見ソリッドの黒に見える。  

シートに座って位置を調整すると、結構着座位置が高く、ボンネットも多少見える。この雰囲気は7シリーズにかなり似ている。が、しかし、内装の質感は、旧5シリーズのクラウンオヤジも納得の高級感とは、全く異なり、内部機構の先進性と同様新しい時代を感じさせる。とは、言っても、同じく先進的な内装の7シリーズは、先進性の中にも、極めて高品質な、独特な高級感があったが、これに比べれば5シリーズはチョット安っぽい。

エンジン始動はキーを捻ればいいし、シフトレバーは普通のクルマと同じくコンソールにあるので、常識的にDに入れれば発進でき、この点は7シリーズとは違い、一般的なクルマの動かし方の知識で問題無い。

走り始めて気がつくのは、3.0(M54)エンジンは、旧530に比べて、更に低速トルクが増したように感じる。これはATが6速となったことで、恒に最適なギヤ比で走行することもあるが、旧型比で70kgという車両の軽量化も効いているのだろう。この6速ATは2速でスタートしてから3速に上がるときに、かすかにクィーンという音がする。何処かで聞いた覚えがあると思ったら、朝日交通の中型路線バス(AT)と同じ音だった。

低速トルクが大きいため、定常走行中は1200回転程度で走るので、回転計下部にある燃費計は20km/l以上をさしているから、燃費は結構良いのではないか。ATのレスポンスも非常に良く、少し右足を踏みこんだだけで、即座にシフトダウンし、もちろんショックも非常に少ない。走行中の音は極めて静かで、ランフラットタイヤのヒュ-と言う音が微かに聞こる程度だった。

さて、今回のハイライトであるアクティブステアリングのフィーリングは、一般道を走行する程度の速度では、極めて軽く、クイックだ。通常の走行では、それこそ手首で軽く動かすだけで、車はヒラヒラと向きを変える。最初は違和感があるが10分程走れば慣れるので、このクルマを買って毎日乗るオーナーには問題にならないだろう。交差点を右左折するときは軽く半回転するだけで、クルマは直角に曲がれる。すこし慣れて、冷静にフィーリングを確かめると、ステアリングホイールに伝わる感覚には、自分が前輪を動かしているという感覚が薄い。従って、従来のBMWのように、恒に路面の状態が手に伝わってくると言う点では、多少の違和感がある。

乗り心地は、50扁平のランフラットタイヤを装着しているにもかかわらずフラットで、荒れた路面でも微かな振動と音はするが、車は何事も無かったように通過するのは、BMWとして当たり前といえば当たり前で、このフィーリングは今や完成され尽くしているのだろう。走行1500kmでこれだから、1万km程度走って当たりが取れた状態になったらどんなに良くなるのだろうか。これを知りたきゃ、自分で買うしかないか!

ブレーキもおなじみのBMWそのもので、軽い踏力と確実な制動力は安心感があり、このフィーリングは3,5,7シリーズとも共通なのは流石で、この点だけでもセルシオは大いに差を付けられている。ホイールの隙間から覗いたキャリパーは、色や質感、それに形状から言ってもテーベスのFNRで、7シリーズに次いで5シリーズも新型アルミ・キャリパーとなった訳だ。今後3シリーズはどうなるのか?

 530iは価格を考えると、とてもサラリーマンが買える価格ではない。近い内に525iも試乗車として、降ろすそうだから、これを楽しみにしておこう。2.5ℓでどこまでの動力性能が得られるか?旧5シリーズの525iは動力性能としてはもうチョットという感があったが、70kg軽量化された新型はどんなもんだろうか。

 さて、新5シリーズは、噂どうりに大したもんだった。アクティブステアリングも結構煮詰められてはいたが、しかし、更なる改良と初期不良が改善されるまで、2〜3年は様子を見る必要があるだろう。それに、BWMの今までの値段の付けかたからして、MCのあたりで値下げするのはミエミエだから、焦ることは無いだろう。それまで、頑張って貯金をするか!