B_Otaku のクルマ写真館
 Mitsubishi Eclipse Cross


バブル時代には飛ぶ鳥を落とす勢いだった三菱自動車も、その後のバブル崩壊で高価格なパジェロのようなドル箱車種はじり貧になっていったが、それでも GDI エンジンなどで何とかそれなりのユーザーを掴んでいたが、2000年のリコール隠し発覚により一気に落ち目と成った。しかし、ダイムラーとの乗用車分野における資本・業務提携により立ち直りの機会を得たが、何と2004年にさらなるリコール隠しとヤミ改修が発覚し、翌 2005年にはダイムラークライスラーから資本関係を解消される。同年末には市場低迷により中・大型セダン市場からの撤退とまさに存亡の危機となった。

その後も厳しい経営環境は続いたが、三菱グループの支援もありなんとか凌いできたが、今度は 2016年に燃費データーを改ざんした燃費不正事件が発覚し、OEM 先の日産車を含めて生産を休止するという事態にまで発展してしまった。しかもその後にも不正な方法で燃料測定していた事が発覚するという、もうこれは体質を根本から直さないと立ち直れないんじゃねぇ、という感じだった。そしてその直後に日産自動車が筆頭株主となり三菱自動車はルノー・日産グループの一員となった。結局日産としては「毒を食らえば皿までも」の状況となってしまった。要するに三菱グループから見捨てられたという事だ。

その三菱自動車が久々のブランニューモデルを発売した。それがエクリプスクロスという小型 SUV で、サイズ的にはマツダ CX-5 やトヨタ C-HR と同クラスという、売れ筋ではあるが熾烈な競争の行われている激戦区だ。

先ずはエクリプスクロスの仕様を確認して見る。比較相手は勿論同じクラスのライバルである CX-5 と C-HR で、これに一応同じCセグメントの BMW X1 も加えてみた。

表を見ればサイズや重量は CX-5 および C-HR とほぼ同じで、エンジンは CX-5 の2.0L 自然吸気に対して 1.5L ターボと方式が異なるがエンジンパワーは殆ど同じとなっている。ただし流石にターボだけあってトルクに関してはエクルプスクロスが2割程勝っている。C-HR についてはターボとは言え排気量が1.2L と小さく、当然ながら出力・トルク共に低く、その割には価格は同等というのはチョッと辛いが、それでも C-HR は販売台数では他を圧倒しているのはトヨタの販売力と、実はハイブリッドモデルが売れている事も原因だろう。

 

そこで先ずはエクリプスクロスのエクステリアを眺めてみる。

ハッキリ言って特に特徴も無い SUV に見えるが、いやそれでもリアには奇妙なウィングらしきモノが見える。

以上2018年3月27日掲載分


フロントグリルはここ何年も新型車の無い三菱だからアイデンティティも何も有る筈も無く、結局無国籍風の顔付となっている。尤もグリルセンターの三菱マークが日本では強力なアイデンティティであり、これを知らない日本人は居ないだろう。えっ、最近は隠れキムチが多いから、あいつら日本人じゃ無いのでスリーダイヤも判らない‥‥って事も無い。

サイドの寸法は全長 4,405㎜ 全高 1,685㎜ ホイールベース 2,670㎜ とこのクラスとしては標準的なサイズで、マツダ CX-5 とほぼ等しい。ただしCピラー以降のラインは独特で、傾斜が緩くクーペ的な事と、テールランプが鋭角に尖っていてその下が曲線的に出っ張っているなど、言ってみれば全長の割にラゲージスペースが狭そうだ。

サイドビューからも想像できるがリアビューは個性があって、特に左右のリアコンビネーションランプが水平に繋がってリアウィンドウを貫通している。さらにサイドビューではボルボのようにルーフ近くまで伸びているが後方から見ると見えないのは側面のCピラー上にあるためで、しかしこれだとリアからは確認できないが、まあ良いのかいな。

リアラゲージスペースはやはり決して広く無い、と言うよりもCセグメントとはいえライバルよりも狭く感じる。

ボンネットカバーを開けた時の保持はダンパーではなくロッドを差し込むタイプ、というのはこのクラスの国産車の定番だから驚く事は無いが、BMW に代表される高級輸入車しか知らない幸せな人には理解できないし、うっかりロッドを立てるのを忘れるとドカンっと落ちてくるかもしれない。まあその前にセレブの人達はエンジンルーム何て開ける事は無いだろうが‥‥。

エンジンは 4気筒 1.5L ターボ 150ps/5,500rpm 240N-m/2,000-3,500rpm で、今のところこれのみであり、他の排気量やチューニング違いは無く、勿論ディーゼルも無い。

タイヤはベースグレードの M では 215/70R16 だが、 G には写真の 225/55R18 が標準となる。

ブレーキは極普通の鋳物製片押しシングルキャリパーだが、フロントとリアの大きさに違いが少ないのは前後の重量バランスがイーブンに近いのかもしれない。なおリアのパーキングブレーキは専用ドラムが見えるから所謂ドラムインタイプとなっている。まあ、この方法が当たり前なのだが、最近はキャリパーにパーキング機構を組み込んだP付きも結構ある。

以上2018年3月28日掲載分


ドアを開けてみると、一見したところでは最近の標準的な SUV そのものであり、大きな特徴は見当たらない。シート形状もフロントにはサポートの良さそうなスポーツ系のシートが標準となるのも今では極普通の姿だ。

標準のシート表皮は3つのグレードで共通となっているが、G以上では本革シートをオプションで選択できる。

シート調整はマニュアル式だが、前述の本革シートを選ぶとセットオプションとしてパワーシートとなる。なおスカッフプレートは写真上には無いが写真下では光輝く立派な三菱のロゴが付いている。これはオプション設定されているが、わざわざこんなモノを付けるオーナーっているのだろうか?

ドアのインナートリムは G以上で共通となっていて、まあ適度の質感は持っている。

シルバーのドアグリップやピアノブラック仕上げのスイッチパネルとドアノブ付近、そしてアームレストのパッドにはステッチが入るなど定番の加飾で安っぽさは無い。

リアドアのトリムはフロントに比べてショボいが、まあここはファミリーなら子供用だからこんなモノで充分だ‥‥ということか。

この手のモデルでは後発だから、そこは先行メーカーより明らかにアドバンテージがある‥‥と言う事も感じられ無い。それでも未だとば口を見ただけだから、結論を出すのは早い。

以上2018年3月29日掲載分


インパネはダッシュボード下端からセンタークラスター、そしてコンソールに繋がるシルバーの加飾ラインが多少目を引くが、それ以外に大きな特徴は無い。

実は G と G Plus Package の大きな差の一つはセンタークラスターのディスプレイが異なる事で、Gでは標準がブランクパネルで写真左下はオーディオ一体型ナビを付けている。そして写真右下の Plus Package では欧州車のようにディスプレイがトップボードより飛び出している。

エアコンの操作パネルはセンタークラスターの下部にあり、特別な特徴は無いが当然オートエアコンだろう。まあ今時マニュアルエアコン何て部品が量産されていなくて返って高コストとなるだろうが。

エンジン始動のスイッチは最近ではメジャーな位置と形で、何も知らなくても直ぐに判る。

ダッシュボード右端には各種スイッチ類が並んでいる。

コンソールもグレードによって大きく異なり、G Plus Package では前述のディスプレイと共に使用するコマンドスイッチが追加されるために電動式パーキングブレーキスイッチの位置がGとは異なっていて、その為に後方のカップボルダーまで左に移動していて、その為にコンソールのパネルはグレードにより別の部品になるという、トヨタのエンジニアが見たら卒倒しそうな状況になっている。

G Plus Package の入力ディバイスはタブレット方式のようだ。それにしてもグレードによってワザワザコンソール上の配置を変えるなんていう無駄なコストの掛りそうな事をやって、その割にはこのタブレット風のデバイスはコンソールからはみ出しそうに強引にくっ付けているが、これじぁあ最初から考慮して設計していなかった、と言っているようなものだ。もしかして、天下りの元キャリア官僚役員が突然レクサスみたいなのを付けないと売れないぞ、とか言いだして、苦し紛れに付けたとか‥‥?

そりゃまあ、大騒ぎの設計変更だったろう。えっ、どうせ正社員は派遣の外注設計者にマル投げして、明日の朝までやっとけよ、とか言って定時で帰った‥‥とか言う事は無いので勘違い無きように!

コンソールの後端には今やエアアウトレットが付くのが常識だが‥‥このクルマには無い。その代わりに下端には "POWER OUTLET" と書かれた蓋があり、更には 12V 120W と書かれているから、要するにバッテリーからの出力端子があるのあろうが、まあ大したモノでは無い。それより、リアの住人への冷風は何処から来るかと言えば‥‥ハテ。

ペダルは普通にショボいウレタンパッドで、ブレーキペダルは左寄りで幅が広いから、米国式に左足ブレーキを考慮しているが、踏み間違いの多い日本のジジババの事は考慮していない。

以上2018年3月30日掲載分

⇒ Mitsubishi Eclips Closs 試乗記 (2018/3)