B_Otaku のクルマ写真館
 Mazda CX-3

最近の SUV ブームは世界的なようだが、勿論日本でも販売上位に入っているモノも出てきている。とりわけ手頃なサイズと価格のコンパクトタイプは人気があって、昨年発売されたトヨタのブランニューモデルである C-HR は本年上半期の販売でも第3位という健闘ぶりだ。まあ正直言って C-HR がそんなに良いクルマかといえば疑問もあるが、少し前ならトップを獲った事もあるアクア (第4位) に勝ったのだからブームというのは恐ろしいものだ。

その小型 SUV の一つに 2015年2月に登場したマツダ CX-3 があり、CX-5 の出来の良さからして充分に期待できるのだが、何とエンジンバリエーションが 1.5L ディーゼル ターボのみで、最近のディーゼルの進化を考慮に入れても大排気量になる程メリットが多い、言い換えればメリットの少ない小排気量ディーゼルエンジンのみを設定しているというのが理解できない。更には価格的にもガソリンの自然吸気エンジンに比べて高価となるディーゼルターボだから買い得感にも乏しかった。

それが今年6月の MC で2.0L 自然吸気ガソリンエンジンを搭載したモデルが発売になった。これによりエントリーグレードがディーゼルと比べて一気に30万円も安くなったことで、俄然注目度が上がる事となった。

ということで、今回はこの CX-3 を写真で紹介する事にした。先ずはその主要諸元を下の表にまとめるが、比較としては前述の売り上げトップ3であるトヨタ C-HR と同クラスとしてホンダ ヴェゼルを選んでみた。と、この組み合わせを見たスバおたさんは「なんだこれゃ、XV が無いじゃないか」と怒るだろうが、ヴェゼルは今年上半期売り上げで第17位となっていて、これは小型 SUV としては C-HR に次ぐ2位である事が採用の理由だ。因みに XV は‥‥発表されている 30位の圏外で判らず。

性能的には自然吸気とはいえ CX-3 は2.0L と上表では一番排気量が多く、パワーでもトップとなっている。それで価格は、まあこれは装備の違いも考慮が必要だが、とにかくエントリーモデルとして販売されているクルマ同士を比較しても C-HR より買い得となっている。まあその面ではヴェゼルの安さが光っているが、性能的には CX-3 と比較するにはハイブリッドモデルがライバルであり、そうなると価格的には寧ろ高くなる。

今回の写真のクルマは中間グレードの 20S PROACTVE で駆動方式は 2WD (FWD) 、価格は228.4万円也というものだ。早速エクステリアを見るとフロントは例のマツダルックで、その面ではマツダもようやくエクステリアにアイデンティティを確立した事になり、これは国産車では寧ろ稀な例だ。

リアも中々マッチョだが、基本的にはまさに CX-5 の弟分という雰囲気がする。

以上2017年8月21日掲載分


フロントは五角形のグリルとマツダのマークで誰が見ても最近のマツダ車だ。以前からすれば随分評価の上がった事もあり、マツダ車であることが恥ずかしくなくなった今日この頃、アイデンティティがあるのは良い事だ。

リアスタイルは立派な2本出しのクローム仕上げのマフラーカッターが見えるなど小型 SUV としての安っぽさを感じられないどころか、結構マッチョな雰囲気もある。

サイドビューを見るとウエストラインが曲線を描いていて、更にBピラー以降からキックアップしているなど中々頑張っている。しかもドアのアウターパネルにはキャラクターラインの部類が無くて、綺麗な曲面で構成されている。

ヘッドランプもリアコンビネーションランプも全グレードで LED 方式を標準としている。エンブレムには "SKYACTIV TECHNOLOGY" と表記されているが、ガソリンエンジン車 (20) であるとこを表すモノは見当たらない。

リアゲートを開けると床面位置が妙に高い事に気づく。ハイブリッドでもないのに‥‥?

その高い床面を持ち上げると、何とその下には結構なスペースが表れた。という事は、床板を取っ払えば深いラゲージスペースとして使えるという事だ。

ゲート下端をみると、この手のクルマではお馴染みのゲートの電動クローズスイッチが‥‥いや、これは流石に無い。

以上2017年8月22日掲載分


ボンネットフードを開けて持ち上げると、これが結構重量を感じるから要するにダンパーは無くて手動でロッドを立てるタイプなのは、まあこのクラスでは仕方のないところだ。このクルマは FWD だから 2.0L 自然吸気 ガソリンエンジンは車両の右側にオフセットして搭載されているのは、左側にミッションやデフを配置するからだし、前後位置ではサスタワーよりも前方にオフセットされているのも FWD では定番だ。

エンジンのトップカバーには "SKYACTIV TECHNOLOGY" のロゴとマツダのマークが輝いている。自社のマークを堂々と付けられるようになったマツダは、30年前からすれば夢のようだ。

ボンネットフードの裏側には当然ながら防音と断熱の為のインシュレーターが付いている。しかし前部のパッキンが右側 1/4 くらいの部分に付いていないのは如何なる理由だろうか。

ストラットタワー付近を拡大すると特に驚く程には堅牢な作りではないが、見るからにチャチという訳でも無い。勿論最近のクルマらしく鉄板の重ね部分にはシール材が塗られているが、以前の国産車は隙間丸出しで水が入って長い間には腐食する、なんていうレベルだったが‥‥。ところで、韓国車の作りはどうなのだろうか?

ホイール&タイヤは全グレードで 18 x 7J アルミホイールに 215/50R18 タイヤを標準とするが 、ベースグレードでは 16 x 6 1/2J アルミホイールに 215/60R16 タイヤがオプション設定されていて、この場合は-4万円と言わばレスオプション的な設定となっている。

ブレーキは極々普通の鋳物製片押しシングルピストンキャリパーだが、リアはパーキングドラムらしきモノが見えないところを見ると、キャリパー自身にパーキング機構を組み込んだ (通称P付き) タイプのようだ。何故かマツダはP付きが多いが、世間一般では極々少数派でもある。

ドアのヒンジ部分を拡大すると、これは国産車ではお馴染みの板金プレスのタイプで、まあこれが悪いとは言わないが、BMW のようなスチールの引き抜き材 (鍛造品) に比べると見るからにチャチい。

とは言ってみたが、国産車としては欧州テイストのマツダとはいえ所詮は大衆ブランドだから、プレミアムブランドの BMW 等と比較するのは間違いだった。なお国産車でも少なくともレクサス LS は BMW と同等のヒンジを使用していた。

以上2017年8月25日掲載分


室内の雰囲気は欧州車と言われても納得できるような、最近のグローバル基準という雰囲気だ。

シート表皮は写真の中間グレードである PROACTIVE ではサイドと前後が人口皮革でセンターがクロスとなっているが、この人口皮革は如何にもフェイクという感じで本革と見紛うという事は無い。因みにベースグレードではクロス、トップグレードの L Package ではセンターにパーフォレーションレザー、サイドにはスエードの何れも人口皮革を使用している。

ポジション調整は L Package に10Way パワーシート、その他は写真の PROACTIVE も含めてラチェット付きシートリフターを持った手動式となっている。

ドアトリムはクラスの割にはマトモで、プラスチッキーという感じはしない。マツダの内装も進化したものだ。

中間グレードとは言えアームレストはレッドのレザー仕上げで、ステッチも入っている。ドアノブ付近のパネルの艶消しシルバーも高級感を感じる。

リアドアもフロントと同等のデザインや質感で統一されている。そんなの当たり前だっ、って? いやいや、安モノはリアを手抜きする場合が結構あるんスよ。

ダッシュボードはエアアウトレットが左端とセンタークラスター右端にある。普通はセンタークラスターの左右にあるのが定番だが、これを外した事から見た目でユニークさが目立っている。ディスプレイは流行の高い位置で全グレードに標準であり、数万円のメモリーを追加すれば即座にナビが使るのもマツダならではだ。

センタークラスターのエアコン操作パネルはディスプレイから大分離れた (低い) 位置にあるが、その中間にはレザー仕上げのレッドステッチの入ったパッドがある。なおエアアウトレットは実はセンタークラスター左にも小さく目立たない形状だがちゃあんと装着されている。

センターコンソールは前部に AT セレクター、後部にはコマンドダイヤルがあるが、このクラスでダイヤル入力とディスプレイによる総合システムを全グレードに装備しているというのも最近のマツダの大きなメリットだ。トヨタなんてDセグメントクラスでさえ2DIN のブランクパネルが標準で、市販ナビのポン付けというのが普通だ。

 

AT セレクターのパターンは直線式のティプトロタイプで、マニュアル操作は引いてアップという現行BMWと同じタイプだ。コマンドダイヤル周辺はオーディオやナビのスイッチが見えるが、これも含めて何となく BMW っぽい。

 

ここまで見たところでは B セグメントのコンパクト SUV としては充分に質の高い内装で、いやいや最近のマツダは本当に大したものだ。なんたってアバルトブランドでの OEM 供給までやっているくらいだから。

以上2017年8月27日掲載分


次に残る最後の部分として先ずはリアシートに移ってみるとセンターコンソールの後端にはお馴染みのエアアウトレットが‥‥あれ、向きが上を向いている。実はこれ単なるモノ入れで、マツダでは "コンソールマルチトレイ” と命名している。ダッシュボード右端には国産車の定番である各種制御系スイッチが並んでいる。その上がエアアウトレットという配置は国産どころか世界中のクルマが採用しているが、これをマツダではエアコンルーバーと呼んでいる。そして外周の円形のリングはエアコンルーバーべゼルと呼び、この色は写真のダークレッドが下の2グレードに装着され、一番高いヤツ (L Package) はサテンクロームメッキとなる。

 

スタートスイッチはメータークラスター左端というかセンタークラスタ-右端というか、要するに一番メジャーな場所にある。ステアリングスポークにはオートクルーズ用スイッチが組み込まれ、更にはマニュアルシフト用のパドルスイッチも見えるが、これは PROACTIVE 以上に標準でベースグレードではオプションとなる。

 

ステアリングホイール越しに見たメータークラスターは安モノ感を感じないのは立派。

メーターは大径回転計とそれに組み込まれたデジタル速度計のみで、それ以外では右側ディスプレイに燃料計が電子式で表示される程度だ。そしてブラックの盤面に白い文字や目盛という地味な出で立ちは、トヨタ C-HR のケバいカラーの自光式とは対称的だ。

ペダル配置はマツダのポリシーに従ってブレーキペダルが右足で自然に踏める配置、すなわち全体を極力右よりに配置し、アクセルはオルガンペダルを採用している。そういえばある時期頻繁に報道された (特に高齢ドライバーの) ブレーキとアクセルの踏み間違い事故は最近マルで静かになっているが‥‥一歩踏み込んで踏み間違いはペダル配置が原因‥‥なんて報道する根性のあるテレビ局はマズ無いだろう。

以上2017年8月28日掲載分

⇒ Mazda CX-3 20 試乗記 (2017/8)