B_Otaku のクルマ写真館
 NOAR 3兄弟

トヨタの NOAR3兄弟 は 2016年前期 登録台数ではヴォクシーが第6位という強さを見せていたが、実際には3兄弟 (ノア/ヴォクシー/エスクァイア) を合計すると 92,598台となり、これは2位のアクアの 89,409台を上回り142,562台のプリウスに次いで第2位となる事に気が付いた。

NOAR3兄弟は殆ど同じだから同じようなモノを3種類も取り上げるのは馬鹿馬鹿しいので今回は一番売れているヴォクシーで代表することにする。しかし、ヴォクシーといえば販売網はネッツ店であり、 ネッツ店のユーザー層は、って? いや、まあ、その何ですよ。

さてそのヴォクシーは大きく分けてパワートレインから2種類に分類でき、一つがトヨタ得意のハイブリッドだが、これは価格が300万円からと決して安くない。ということはトヨタ店とトヨペット店が取り扱っているエスクァイアならハイブリッドが主流となってもおかしくはない。もう一つはガソリン 2.0L 自然吸気モデルで、これは 225万円からという価格設定だからやっぱりヴォクシーの本命はこれかな?

そこでライバルとしては同じく200万円代前半で買えるクルマを並べてみた。

上記の3ブランドはどれもサイズ的には極めて近いが、これは5ナンバーの所謂小型車サイズに収めていることが大きな原因だと思う。そしてホイールベースも事実上同じなのは5ナンバーサイズのフロントにエンジンをぶら下げて残った4隅にタイヤと付ければ誰が考えたって同じような寸法になるということだ。

それではいつものようにエクステリアから眺める事にする。

写真のクルマはラインナップ中でトップモデルとなる ”ZS” というグレードのためにバンパーやリアゲートには ”光り物” が多く、ホイールだって随分とスポーティーで高そうなのが付いている。そんな事もあり価格は2.0L 2WD が 290.3万円、ハイブリッドでは322.9 万円と結構高価なクルマだ。

以上2016年10月5日掲載分


ここでエクステリア各部を見てゆくが、写真ではヴォクシーがラインナップ中でトップモデルとなる ”ZS” というグレードで 290.3万円、エスクァイアのグレードはこれもトップグレードの Gi でしかもハイブリッドのために価格は 325.6万円 となる。なおエスクァイアのグレード展開は其々のパワートレインに対してベースの Xi と上位の Gi の2種類であり、ベースモデルとは言え Xi はヴォクシーの中位モデルに相当し最も安い 2.0Xi でも 265.8万円と、ヴォクシーのように 225万円などという低グレードモデルは存在しない。また Gi はヴォクシーの最上位モデルの ZS のようなケバいアンちゃん仕様ではなく、ラグジュアリー志向となっているのは販売チャンネルの違いによる客層の違いが反映されている結果だろう。

 

ということを踏まえてフロントフェイスを比べれば基本的なボディは同じでもグリルの形状を変えて雰囲気を代えている。勿論ヴォクシーはアンちゃん若いユーザーが喜びそうに、そしてエスクァイアはクラウンっぽく、等これまたそれぞれのユーザー層を見極めてデザインされている。

そしてリアはといえばフロント程では無いが水平に伸びるモールのケバさなどで差を付けている。またヴォクシーの展示車のテールランプがクリアレンズであり、これももしかして ZS だからかと思ったが、そうでもないようだ。

 

サイドビューはどちらも大きな違いは無いが一番目立つのはタイヤ&ホイールで、標準装着タイヤはヴォクシー ZS (写真上) が 205/60R16、エスクァイア ハイブリッド Xi が195/65R15 となる。なおヴォクシー ZS がハイブリッドの場合は 205 /55R16 鍛造アルミホイール付という立派なものになるが価格も 323.9万円となる。

ボンネットフードを開けると、どちらも横置き4気筒エンジンが見えるが、写真上はオレンジ色の高圧ケーブルでハイブリッドと判る。下の 2.0L ガソリンエンジンは未だ時代のトレンドであるダウンサイジング化が出来ていない。近い将来は1.5L ターボなどになるのか、それともこのまま行くのか? まあ 1.5L ターボ化したらばより売れるかといえば、それは無いだろう。

ブレーキは極普通の鋳物片押しシングルピストンキャリパーだが、この手のクルマもリアがディスク化される時代になったようだ。と感心してみたが、念のために調べてみたらばリアにディスクブレーキを装着しているのはハイブリッド車全てとガソリン車では ZS (ボクシーの場合) のみで、その他のグレードではリアはドラムブレーキだった。

以上2016年10月7日掲載分


今度はドアを開けてみるが、ミニバンだからリアードアはスライド式なのは当たり前だが、これって慣れないと一瞬戸惑ってしまう。下の写真はレザーシート装着車なのでシートが光り輝いている!

セカンドシートは2人掛けの7人乗りと3人掛けの8人乗りを選択できる。どちらが良いかは使う目的次第で小さい子供などがいると寧ろ2人掛けシートは使い難い気がする。

サードシートは座面形状自体がセカンドシートよりもショボいからスペース云々の前に大人が長距離乗るには厳しいモノがある。ただしスペース自体はセカンドシートを適度な位置にすれば充分に使い物になる。そのセカンドシートの足元はセダンに比べれば圧倒的で、サードシートのスペースを考えて中間位置にセットしても充分な広さがある。

エスクァイアの上位モデルである Gi にはレザー (合成皮革) シートが標準装備されているが、これは写真で見ても判るように如何にも合成っぽいくて、固くてテカテカしている。

ヴォクシーはレザーシートの設定がなく、一番高い ZS でもファブリックシートとなり、その代わりに鍛造アルミホイールが付いたりするのは、要するに購買層の違いに上手く合わせている。

ドアのインナートリムは写真のエスクァイア Gi では、シート同様に合成皮革らしきものを使っている。

拡大すると、いやぁ、なんというか、シート同様に如何にもパチもん (人工皮革) っぽい。

なお、今回は3兄弟の残る一つであるノアについては触れていないが、カタログで見る限りは全てがファブリックシートでレザーシートの設定は無いようだ。

以上2016年10月10日掲載分


ダッシュボードのレイアウトはセンターにオーディオ&ナビスペース (写真では一体型ナビが付いている) となっているが、その上に小さなインフォメーションディスプレイが付いている。従って最近流行りのディスプレイが最上部から飛び出しているタイプではないが、これはこのクラスではシステム化されたオーディオ&ナビが予算的に難しからこうなるのだろう。

ダッシュボード中央下端にはエアコン調整スイッチとATセレクターが配置される所謂インパネシフトとなっている。これは現在、ミニバンや軽のハイトワゴンでは定番となっている方式だ。ヴォクシーは全グレードでオーディオレスだからディーラーオプションか量販店で購入しての後付となる。写真のナビはディーラーオプションの純正9インチモデルで価格は25万円と結構なモノだが、実際には値引きの対象となるはずだ。実はその上には30万円也の10インチモデルもあるが、エントリーナビという96,000円のローコストモデルも有り、これによりユーザーがカーショップなどに流れるのを防止しているのでは、と深読みしなくなる。なお「ナビなんて要らねぇ」という漢らしいユーザーには CDチューナー (28,080円) もあり、まあこれなら事実上は値引きの一部としてオマケで付けてくれるような気もする。

ダッシュボード右端には各種スイッチが並び最右端上にはパワースイッチ (写真は HV なのでスターターでは無い) がある。

 

AT セレクターは HV モデルではプリウスでお馴染の如何にも HV らしい電子式のレバーが使用されている。これが 2.0L (ガソリン) モデルでは従来のゲート式でDからマニュアルオートとなるタイプが付いているが、このクラスにしてはマニュアルモードを奢っている。ハッキリ言ってファミリーミニバンでマニュアル操作の意味は無い気もするが。

ダッシュボードのパネルの仕上げは典型的なプラスチッキーなヤツで、表面は革のようなシボ目が付いているが下の写真でも判断できるくらいにテラテラと光って安っぽい。これを本皮と見紛うようなら眼科検診を受けた方が良い、というレベルだ。

メーターは HV モデルの場合、中央に大径の速度計と左にはチャージメーターと、これまた如何にもそれらしいものが採用されている。

最近の中級以上のモデルには当然のように正面のメーター内にインフォメーションディスプレイが付いているが、ヴォクシーの場合にはセンターに近い位置のトップに専用の小さなティスプレイが配置されている。プリウスではこの部分に全てのメーターが組み込まれていて慣れないと使いづらいが、こちらは正面にメータークラスターを持つために違和感は少ない。

最もハイブリッド専用車ではなくガソリン車と共有する関係上プリウスのようなデザインは出来ないのも原因だが、結果的に寧ろ使いやすくなっている。

パーキングブレーキはチョイと時代遅れ気味の足踏み式で、ここは電気式が欲しいところだ。

以上、ヴォクシーとその兄弟のエスクァイアについて内外装を見てきたが、こうなると先日発売されたライバルのセレナと比較したくなる。というかそれをやりたい為に今回ヴォクシーを取り上げた訳で、一応 MEGAWEB で簡単な試乗も済ませてあり、近いうちに簡易試乗記として纏める予定だ。何しろ、プリウス & アクアのハイブリッド専用車に次いで売れ筋のミドルクラスミニバンだから、一応その内容を把握しておくのはクルマ好きの一般教養として必須科目!ということで、お金持ちのマニアは我慢してもらいたいが、その為に別途 X5 のV8 モデルの試乗記も公開中というわけだ。

えっ、300万円クラスのミドルクラスミニバンと1,200万円クラスのハイバワー SUV じゃ極端過ぎる、という読者の為には BMW X4 xDrive 28i (約700万円) の試乗記も予定しているのでそちらを待っていてもらおう。

以上2016年10月11日掲載分

⇒ TOYOTA VOXY Hybrid 簡易試乗記 (2016/9)