B_Otaku のクルマ写真館
 Toyota Passo


トヨタ パッソはダイハツ ブーンと兄弟車でダイハツよりトヨタにOEM 供給されているもので、サイズ的には軽自動車を除けば登録車で最も小さく、欧州で言えばAセグメントに相当する。そのパッソ / ブーンが今回フルモデルチェンジされた。

先代パッソ (KGC30) については 2011年に簡易試乗記でのインプレッションをアップしているが、何と余りにも出来が悪いために走行編に進むには特別編と同様にパッソの評価がボロクソなことを受け入れられる読者に限定している、というくらいの駄目グルマだった。

Toyota Passo 1.0 +Hana 簡易試乗記

先代パッソのこれ程までの低評価の最大の原因は信じられないくらいの動力性能の低さだった。それで今回のエンジンはといえば、なっ、な、何と、先代と同じ 1KR-FE ではないか。そしてパワーもトルクも同じ! とはいえ色々調べてみたらば、型式やスペックは同じとはいえ吸気ポートとインジェクターをデュアル化することで燃焼効率をアップさせ、圧縮比もアップするなどの大幅改良を行ったという事だ。それでもスペックが同じということは先代の69ps は "トヨタ馬力" であり、今回の69ps は他社と同一基準の真っ当な性能とか‥‥?

このようなエンジンの大幅改良により先代と同じ重量ながら燃費は 27.6 から 28.0 km/L と約1.5%程向上した。しかしそんなに地道な努力をしても 1.5% じゃあやってられないから、走行抵抗のデーター誤魔化して7%アップの方が早いんじゃねえ? 何て言いたくなるが、そうか、流石にM車は財閥系だけあって出自の確かで一流大学出の優秀な社員で固めているから、尾張の田舎者と違ってやることに無駄がない! って、そりゃあ犯罪だろう。

さて今回のスペック比較でのライバルは国産からスズキ イグニス、そして輸入車ではVW up!を取り上げてみた。比較車の選定に当たっては、先ずスバル車にAセグメントが無いことを確認し、確かに無いからスバヲタから強烈な異議申し立てが来ることは無いというところで、他車を選定した。

それで、新型のアウターサイズをみれば、あれっ? スリーサイズは全く同じ。少しはウエストも細くヒップはボリューを増してセクシーに‥‥ではなく、全幅も拡大することも無く、先代のサイズを死守している。ただし良く見ればホイールベースは75㎜ 延長されているし、同じタイヤサイズでもトレッドは広がっていると言う事はサスペンションのジオメトリーも一新したのだろう。

ということでそのエクステリアを見てみれば

フロントのグリルが大きくなった以外は何やらキープコンセプトだ。なお兄弟車のダイハツ ブーンもグリルを含めて全く同一形状で、違いはトヨタマークかダイハツマークかの違いのみとなる。

Aセグメントの場合、サイズ的にも軽自動車に毛が生えたようなものだから、見るからにかっこ良いデザインというのは中々難しく、今度の新型も、まあ、それなりだ。


以上2016年4月25日掲載分



フロントグリルは他のトヨタ車との共通点は無さそうだが、唯一のアイデンティティとしてはトヨタマークがグリルに付いている事だ。

供給元のダイハツ ブーンとはラジエターグリルまで共通と思っていたが、ブーンにはグレードによって全く異なるグリルの付いているモデルもあるようだ。

サイドビューはハッキリ言ってダサい。今時のクルマとしてはタイヤが小さいことも原因だ。まあ軽の少し大きいヤツと思えば腹も立たないが、最近は軽の、それも低価格ブランドでさえ結構カッコ良くなっているのに‥‥。

リアビューも安っぽさ全開だし、165幅のタイヤもそれに輪をかけている。

写真のクルマは最上位 (165.8万円) の MODA "G package" であり、MODA はBi-Beam LED ヘッドライトが標準となっている。またリアコンビネーションランプは全グレードで LED ランプだが、MODA はクリアーレンズとなる。

テールゲートを開けるとそこに現れるラゲージスペースもやはり軽並に狭いが、A セグメントとしては "身分相応" というところだ。

リアシートのバックレストを倒すと、ラゲージスペースは拡大されるが床面は平らにはならずにリアシートのバックレストの厚みだけ高くなる。写真右下を参照すればと奥行きの狭だが判る。

リアゲートの室内側トリムは樹脂一体式のチャチなものだが、機能的にはこれで十分だ。ゲートを閉めるための電動スイッチは‥‥あるわけが無い!

タイヤサイズは全グレードで165/65R14だが、 "G package" には写真のアルミホイールが標準怒鳴る。それ以外のグレードでは当然ながら樹脂キャップ付きのスチールホイールとなる。

ブレーキは900kg と軽い車重のためにフロントキャリパーも容量が小さくてアウターブリッジと呼ばれる補強が無いもので、軽自動車ではメジャーなものだ。そしてリアは勿論ドラムブレーキとなる。

次回はエンジンおよびインテリアを見る事にする。

以上2016年4月26日掲載分


今回はボンネットフードを開けたところから。

フロントオーバーハングに横置きされたエンジンは先代 (KGC30) からキャリーオーバーされた 1KR-FE 直列3気筒 1.0L で最高出力 69ps と最大トルク 92N-m の性能も変わりはないが、初回で述べたように内容は大幅に改良されているという。そして外観はといえばエンジンのトップカバーの形状は先代とは全く異なっていて、一見するとマルで違うエンジンのようだ。

 

ボンネットカバー裏側の保温&防音材、すなわちボンネットインシュレーターは必要最小限だが、ちゃあんと付いてはいる。

ストラットタワー付近のボディの接合面は一応全面にシール材が塗布されているなど手抜きはしていないようだ。しかしストラットの取り付けボルトは2本だけで、まあ車両重量も軽いからこの程度でも負荷としては十分なのだろう。

 



写真上は Passo X ”G package" (144.7万円) で下は同じく MODA ”G package" (165.8 万円) の室内だが、上級の MODA ではシートセンターの一部にアイボリーの表皮やレッドのラインをアクセントにしているなど結構凝ってはいる。

シートの調整は勿論手動式で、それどころか下の2グレードはシートリフターさえ付いていないのは流石に普通車としては最小・最安価のカテゴリーのクルマらしい。と書いてはみたものの MODA ”G package" は 165.8 万円 (非正規社員の平均年収を超えている?) もする決して安ぐるまではないのだが‥‥。ただし最安価の X は 115万円だから、これゃ何にも付いていなくても当然だろうか。

次にシート表皮を見ると‥‥

X がジャージで MODA がスエード調トリコット (出たぁ~!)だが、スエード調とはいえ以前のようなコテコテの田舎趣味という訳でもない。

以上2016年4月27日掲載分


このところ少し違う話題に目を奪われていたこともありパッソの連載が大分滞ってしまったが、さて今回は‥‥えーと‥‥そうそう、ドアのインナートリムからだ。

価格や車両カテゴリーから考えもプラスチックの一体成形品であろうことは推測できたが、まさにそうだった。

アームレストも弾性樹脂によるパッドではなく、勿論ステッチの入ったレザー貼りの訳もなく、それでも下の写真は上級グレードの ”MODA” ということでアームレストの表面はメタルっぽい仕上げとなっている。

そして下の写真は下位グレードである ”X” で、樹脂そのものの色となっているし、まさにドアトリム全体がプラスチック丸出しであり、使えれば文句を言うな!という感じだ。

それでも先代に比べれば随分マトモになっている。下の写真を見れば判るが、先代のドアトリムなんて若い姐ちゃんが「キャーッ、可愛いい~」なんていう感じで、いい年したオッサンが乗れるようなシロモノでは無かった。

ダッシュボードもチャチとはいえドアトリム同様先代の可愛い路線(写真右上)ではなく、真っ当な小型車という感じだ。なおオーディオクラスターとサイドレジスターリング (丸いエアアウトレット) のマゼンタ加飾は MODA に標準となるが、何となくここだけが浮いていて余計なお世話的だが、要らないと言っても付いてきてしまうようだ。これはレスオプションが欲しいところだ。なお、X "G package" というグレードでは下の写真のマゼンタの部分がシルバーとなり、これが一番良さそうだ。

 

AT セレクターはインパネシフトであり、その左隣にはエアコンの操作パネルがあるが、まあこの雰囲気というかセンスは殆ど軽自動車という感じだ。

ダッシュボード右端にはスタートボタンとその他スイッチ類が並ぶ。トヨタの普通車ではボトムラインとはいえ、今時は軽自動車でさえインテリジェントキーによる始動方法を採用しているから、当然ながらパッソだって使っている。

ここまでの内装を見た限りでは先代の特殊なセンスは影を潜めて、一応真っ当な A セグメント小型車という世界の常識に近くはなっている。このクラスが良くなってくれば、軽自動車から乗り換えるユーザーだって徐々に増えて来るのではないか。おっと、これに付いては次回の最終回で少し考えてみる。

以上2015年5月1日掲載分



MODA ではステアリングホイールは革巻きでスポークにはオーディオスイッチも付いている。

メータークラスター内には自光式メーターが配置され、見やすさは十分に合格圏内だ。国産車の自光式といえば以前は下品に光り輝くセンスの悪いケバいヤツを思い浮かべたが、最近は随分とセンスが良くなったモノで、これなら文句は無い。

写真下の先代 (KGC30) のメーターと比べてみると、トヨタの少し前の低価格車にありがちがコントラストが低くで極めて視認し辛いものだった。勿論回転計なんて付いている訳もない。

ただし下位グレードの X (写真下) ではメーターは自光式ではなく回転計も付いていないし、メーターにシルバーのリングなどの加飾も無い。なお上部に写っているステアリングホイールの一部をみると革巻きでステッチがあるのよにも見えるが、よく見ればステッチも本皮のシボもウレタンに金型で作ったフェイクのようだ。

ルーフ先端のオーバーヘッドコンソールは、コンソール何ていう呼び方がおこがましいくらいに最小限でチャチだが、まあこんなもんでしょう。

フロントセンターのアームレストの後端には、勿論後席用のエアコンアウトレットなんてえモノは影も形も無いっ!

 

さあて、このパッソだが、車両カテゴリーから考えても内外装のチープな事は当然だが逆に居直って「チープで何処が悪い!」みたいなのも快いと思うが、そういうのはフランス車の一部なんかに任せて、パッソは流石にトヨタ車だけあってクラスの割には安っぽさを感じないという出来にはなっている。

と、書いては見たが、パッソの価格帯は 4WD を除いても 115.0~165.8万円であり、上級グレードの MODA は143.1~165.8 万円という、決して安くは無い値札を付けている。これは輸入車の VW up! のベースグレードである move up! (154.8万円、3ドア) と同価格帯だし、4ドアの move up! でも175.6万円だからその差は10万円程度であり、それを考えると何か変だぞ、という気もする。パッソが高過ぎるのか up! が安すぎるのか??

となると、パッソと up! の内外装比較というのは面白そうだと閃いた。先ずは日記でやってみようと思っている。

なんたって、このサイトの売りはドイツ車礼賛のいけ好かない中流階級向け偏向記事に満ち溢れている事であり、パッソなんていう最低ランクのクルマをマジに紹介するなんて言うのはビジネスモデルに反する訳で、これは大いに問題だから、ドイツ車である up! と比べて如何に国産車がイモかを強調する事と、それを見て湯気を立てて怒っている負け組が大騒ぎすることで更にアクセスを稼ぐ事こそ、この厳しいネットの世界で生き残るための方策でもある。

な~んていう程、大げさなモノでは無いが‥‥。

以上2015年5月4日掲載分

⇒ TOYOTA PASSO 簡易試乗記 (2016/4)